[ITmedia ビジネスオンライン] 「あの人、今日は機嫌が悪いから」 職場をむしばむフキハラ、企業が取るべき対策は?
コラムニスト。1児の母。リクルートにて人材業界で法人営業、面接、面談フォロー実績数百件を経験。人事役員などと伴走しさまざまな人事課題に向き合う。広告業界にて5000人集客イベント企画&事務局経験、福祉業界では人事管理職として新卒及び中途採用を1人で設計から実務まで担当し年間約120人採用を達成。国会議員秘書約4年半を経験後、フリーで活動を始め、執筆のほか企業の人事採用コンサルタントなどを手掛ける。アンガーマネジメント講師。
職場で誰かが大きなため息をつく。質問しても返事がそっけない。書類を置く音が妙に大きい。その様子を見た周囲は話しかけるのをためらい、余計な気を遣う――。
こうした不機嫌な態度によって周囲に過度な負担を与える行為は、近年「不機嫌ハラスメント」(フキハラ)と呼ばれている。
人間なのだから、不機嫌になることはある。疲れている日もあれば、私生活で嫌なことがあった日もある。無表情や口数の少なさだけで問題人物にされてしまうと、職場は息苦しくなってしまう。
企業はフキハラ問題をどのように捉え、対処すべきなのだろうか。
不機嫌が職場にもたらす「見えない負担」
相手の顔色をうかがい、不機嫌と分かれば相談を諦める。頼んだ仕事に文句を言われるのが面倒で、自分で代わりに引き受けてしまう。機嫌を損ねないよう、過剰に言葉を選び、説明の順番まで考える――。
これらは本来、業務に必要のない負担である。問題なのは、その負担を引き受けるのは「不機嫌な人の周りにいる社員」である点だ。不機嫌な人の陰で、他の社員の時間や集中力が奪われている可能性がある。
フキハラへの対応は、本来業務に必要のない負担だ(提供:ゲッティイメージズ、以下同)
米国の研究者シガル・バルサードが2002年に発表した実験研究では、集団内における1人の感情表現が他の参加者の感情に伝播(でんぱ)し、集団内の協力や対立などに影響することが示されている。感情は本人だけにとどまらず、周囲にも影響する。
さらに、クリスティン・ポラスとアミール・エレズによる2007年の実験研究をみると、無礼な言動に接した人は、課題の成績や他者を助ける行動が低下した。この研究の対象は「不機嫌」ではなく「無礼」だが、相手の態度が不快感を与えるだけでなく、その後の言動や成果にも悪影響を及ぼし得ることを示している。
職場が疲弊する本質的な原因は「誰かの機嫌を気にする人が多いから」ではない。感情に振り回される人がいることで、他の人が余計な判断と調整を強いられるからだ。
「感じが悪い」だけなのか「仕事に支障がある」のか
一方で、相手が不機嫌に見えただけで即座にフキハラと決めつけるのは危険だ。もともと愛想のよくない人もいれば、忙しさで返事が短くなることもある。過去の経験などから、受ける側が相手の表情に敏感になりすぎている場合もあるだろう。
問題かどうかを判断する場合、重要なのは「具体的な行動」と「業務への影響範囲」だ。
質問や相談を無視する。共有すべき情報を渡さない。その日の気分によって対応を変える。このように周囲が仕事を進めにくくなっている事実があれば「単に機嫌が悪いだけ」ではすまない。特に上司の場合、部下が相談や報告を避けることで、必要な情報が上がらず、組織の判断が遅れるおそれがある。
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