ヒト脳オルガノイドを移植、機能 遺伝子操作の生体マウスに―米大学
ヒト脳オルガノイドを移植したマウス新生児の脳(白線は1ミリ)。緑や赤に光る部分がヒト由来の神経細胞(米スタンフォード大提供)
ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を脳神経細胞の集団に変え、遺伝子操作で大脳新皮質や記憶を担う海馬をできなくしたマウス新生児の大脳に移植したところ、一緒に成長して機能するようになったと、米スタンフォード大の研究チームが16日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
ヒトの脳をマウスで再現したわけではないが、脳の遺伝性疾患や神経変性疾患のメカニズムを解明し、予防・治療法を開発するのに役立つという。
ヒトのiPS細胞や胚性幹細胞(ES細胞)からは、実験容器内でミニサイズの脳や心臓、肝臓、腸などの疑似的臓器をつくることができ、「オルガノイド」と総称される。難病解明や新薬候補の試験に利用されるが、血管を形成できないため、血液による酸素や栄養の供給が困難な上、他の組織と連携する機能を調べられない短所がある。
研究チームは2022年、ヒトの脳オルガノイドをラット新生児の大脳に移植する実験を行ったと発表。ある程度は一緒に成長して機能したが、ラット側の脳の成長スピードがヒト側より速いため、利用価値が限られる結果となった。このため、ヒトの脳オルガノイドが成長するスペースを確保する目的で、大脳新皮質などがほとんどできないマウス新生児を生み出して移植した。
こうした実験には、ヒトの脳を持つ動物が誕生するのではないかという懸念がある。研究チームはヒトに近い霊長類を使う実験などを行う際には、研究者と生命倫理学者、難病患者代表、規制当局による議論が必要との考えを示している。
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