COP31で注目される「1.5度オーバーシュート報告書」、気温上昇が限界点を超えた時に起きること、気候変動問題専門家に聞く | ビジネス | 東洋経済オンライン

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国連環境計画(UNEP)は、トルコ南西部の都市アンタルヤでの「国連気候変動枠組条約第31回締約国会議(COP31)」の開催に先立つ9月10日、「1.5度オーバーシュート(超過)報告書」と題した地球温暖化問題に関する報告書を発表した。
日本を含む世界各国はこれまで、温暖化による地球環境や社会、経済への悪影響を最小限に抑えるべく、地球の平均気温の上昇を産業革命時と比べて1.5度に抑制するという「1.5度目標」に向けて努力することで合意。二酸化炭素(CO₂)など温室効果ガス削減に取り組んできた。しかし、その努力が不十分であったことから気温上昇が数年内に1.5度を超過する可能性が高いと同報告書は指摘する。
今般、発表された1.5度オーバーシュート報告書は私たちに何を伝えようとしているか。また、それを踏まえてCOP31ではどのような議論が行われるのか。環境保全団体WWFジャパンの気候・エネルギー分野の専門家である羽賀秋彦氏に聞いた。
──これまでUNEPは数多くの報告書を発表し、気候変動問題に警鐘を鳴らしてきました。今般の1.5度オーバーシュート報告書が意味することを教えてください。
重要な点は大きく2つある。
1つ目は「警告」だ。現在の気候変動対策では、科学的知見に基づいて求められているものと比較して、温室効果ガスの排出削減の取り組みがまったく不十分だ。数年後にも1.5度超過が迫る中で、「緩和」と呼ばれるCO₂などの温室効果ガス削減の努力を加速させる必要があるというメッセージが打ち出されている。
近い将来の1.5度超過により、私たちには今までに経験したことのない世界が待ち構えている。1.5度オーバーシュート報告書は、海面上昇の加速、サンゴ礁などの生態系崩壊の可能性の高まり、より極端な熱波や山火事の発生、雪氷圏(氷床、海氷、氷河、永久凍土、積雪)の深刻な変化などを例として挙げている。
また、緩和の取り組みのスピードが遅いことに加え、温暖化による災害への備えなど「適応」策も不十分であることにより、温暖化によって引き起こされる「損失と損害(ロス&ダメージ)」がより大きくなっていくというメッセージを同報告書は伝えている。
1.5度の先に未知の世界が待ち構えている
この1.5度オーバーシュート報告書の中で特に重要な概念であるのが、気温が1.5度を超過した後に、温室効果ガス削減の努力により再び低下したとしても、元の世界には戻らないという不可逆性だ。同報告書の執筆者の1人は私が参加したブリーフィングで、「ズッキーニを加熱した後に冷やしても元には戻らない」という例えでこれを説明している。

──もう1つの重要な点とは?
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おかだ ひろゆきHiroyuki Okada
1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、報道部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)
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