[ITmedia ビジネスオンライン] 2週間で新モデル投入 Google復活の裏にある「AIがAIを作る力」の急伸力
米Googleは9月末から10月にかけて、新しいAIモデル「Gemini 4 Argon」(以下:Argon)と「Gemini 4 Carbon」(以下:Carbon)を相次いで発表し、成績の上では性能競争の先頭集団に戻った。
AI新聞は10月30日の記事でGoogleの復活を伝えたが、なぜ戻れたのかという深層には踏み込まなかった。
AIモデルの性能を第三者として評価する米Vals AIの共同創業者兼CEO、ラヤン・クリシュナン(Rayan Krishnan)氏は、10月26日公開のポッドキャスト番組で「最も急な伸びを見せているのはGeminiだ。何かが変わって、GoogleはRSIを優先するようになったのだと思う」と語った。
RSI(Recursive Self-Improvement:再帰的自己改善)とは、AIが次のAIを作り、できたAIがさらに次のAIを改良していくという自己進化の循環のことだ。
再帰的自己改善とは、AIが次のAIを作り、できたAIがさらに次のAIを改良していく自己進化の循環(以下写真提供:ゲッティイメージズ)
AIがAIを作る「再帰的自己改善」 ArgonがOpenAI超えの4位に
Vals AIの「RSI Index」は、AIモデルが再帰的自己改善にどこまで近づいたかを客観的に測る指標だ。AI開発の主な工程から4つの作業を選び、AIモデルに自力で取り組ませて採点する。
- 言語モデルの土台作り
- 学習方法の改良
- 改良が有効に機能したかを判定する仕組みづくり
- 仕上げの追加学習
これらはいずれも、従来は人間のトップ研究者が担ってきた高度な作業である。AIがこれらを人間並みにこなせるようになれば、次のモデルを作る仕事の大部分をAI自身に任せられるようになる。
ArgonはRSI Indexで30.55%を記録し、評価対象となった25モデル中4位に食い込んだ。上位3つは米Anthropicの「Claude」であり、米OpenAIのモデルはすべてArgonより下の順位となった。それまでGoogleで最もRSI Indexの数字が高かったのは「Gemini 3.8 Flash」の約20%(25モデル中17位)だった。Argonによって、AI自身を開発する能力が跳ね上がった格好だ。
わずか2週間で新モデル投入 有言実行を果たしたGoogle
Googleはこれまで、OpenAIやAnthropicに比べてフロンティアモデルを投入する頻度が低かった。ところが、10月13日にArgonを一般公開したわずか2週間後の10月28日には、早くも「Carbon」を発表した。
Googleのスンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEOはX(旧Twitter)に「定期的にモデルを出していくと言ったはずだ」と投稿し、Carbonは最先端を押し広げる開発の速さを示していると胸を張った。ピチャイ氏は7月の決算説明会で、Gemini 4以降は「開発のペースを上げ、ほぼ毎月モデルを出していく」と宣言していたが、まさに有言実行した形だ。
RSIが進めば、AIが開発の一部を肩代わりする分だけ、次のモデルが完成するまでの期間は劇的に短くなる。クリシュナン氏も番組内で、RSIの段階に入れば、半導体や電力といった物理的な制約は残るものの、モデルの進化速度は大幅に加速すると指摘している。Googleがわずか2週間のインターバルで次のモデルを投入できた背景には、このRSI能力の飛躍的な向上があったと推測される。
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