サンプルリターン、継承発展を 「はやぶさ2」の津田さん―探査機MMX打ち上げ
津田雄一 JAXA教授
地球外の天体から試料を採取し、持ち帰るサンプルリターン(SR)探査は、小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」が切り開いた「日本のお家芸」だ。はやぶさ2の責任者を務めた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の津田雄一教授は、火星の衛星「フォボス」に向かう探査機「MMX」について、「同じことの繰り返しではなく、SRの継承発展だ」と強調。「世界をけん引する立場で進めないといけない」と期待を寄せた。
「MMX」、20日打ち上げ 火星衛星から試料回収狙う―世界初、起源や生命探る・JAXA
はやぶさなどでの成功は、米国、ロシアなどの宇宙大国が目を向けてこなかった小惑星探査で世界を驚かせた。「王道ではないがちょっと小気味よい、『そこを突いてきたか』と言われる探査」が日本の強みという津田さん。ただ、宇宙開発草創期から米や旧ソ連の探査機が送り込まれた火星は「日本がやるには割に合わない」(津田さん)ため、なかなか手を出せずにいた。
こうした雰囲気の中で、はやぶさの成功が風向きを変えた。「フォボス、ダイモスは大きさ的には小惑星。SRと組み合わせれば、日本が火星にアプローチする入り口になる」。当時、はやぶさ2のミッションを進めていた津田さんも、次期探査を検討する会議などに参加。火星衛星からのSRが実現可能であることを軌道計算で示し、MMX構想の一つのきっかけとなったという。
MMXが単なる継承にとどまらないのは、将来の探査に向けた世界初の技術がちりばめられているからだ。津田さんは火星圏への往復飛行を挙げ、「将来の宇宙科学がどの方向に進むかは分からないが、少なくとも惑星間を往復して、天体表面を自在に探査できる能力は基本になる」と指摘。国際協力の場でも「良いアイデアが出せて、実証的に物事ができる技術を持っていることが重要だ」と話した。
SRミッションの先輩でもある津田さんは「苦しいこともいっぱいあるが、打ち上がった後はやっぱり楽しい。世界で誰もやったことがないことをやっているので」と振り返る。5年間の旅に臨むMMXに「思った通りにならないのが探査の醍醐味(だいごみ)でもあるので、果敢に乗り越えてほしい」とエールを送った。
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