[ITmedia Mobile] IIJは法人向けに値上げ予定も、個人向け「IIJmio」は据え置き ブロッキングには慎重な姿勢
インターネットイニシアティブ(IIJ)が11月6日、2026年度上期の連結決算を発表した。企業のネットワーク更新需要や海外向け大型GPU基盤案件の獲得がけん引し、売上高は前年同期比29.9%増の2103億円、営業利益は同7.4%増の165.3億円と大幅な増収増益を達成。これに伴い、通期の連結業績予想を上方修正した。
上期の売上高は当初見通しの1800億円を大きく上回る2103億円に着地。通期の売上見通しも当初の3850億円から4280億円へと430億円引き上げた。営業利益についても、当初の通期予想385億円から390億円へと上方修正している。
連結業績サマリー。2026年度通期の売上見通しを上方修正した
業績を押し上げた主因はシステムインテグレーション(SI)事業の急伸だ。国内企業のネットワーク更新や増強需要が継続していることに加え、海外向けの大型GPU関連案件が大きく寄与した。谷脇康彦社長は「構造的に事業拡大に本腰を入れていく時期に入った」と手応えを語る。
一方で、物価高やインフラコストの上昇に対応するため、同社は2027年度の期初にネットワークサービスの価格改定を予定していることを明かした。この価格改定は値上げであり、法人向けサービスが対象になる。個人向けサービス「IIJmio」の値上げは「現時点では考えていない」と谷脇氏は説明した。
IIJmioはeSIMの比率が上昇、料金改定は予定せず
モバイル事業を含むネットワークサービス全体も堅調に推移している。総回線数は約675万回線に達し、法人向けを中心に回線数が拡大している。渡井昭久CFOによると、法人モバイルでは1顧客で大量の回線増減が発生するケースがあるものの、順調に契約を積み上げているという。
IIJmioについては、2026年9月1日から「SMS機能付きeSIM(タイプD/ドコモ網、タイプA/au網)」と「データ通信専用eSIM(タイプA/au網)」の提供を開始し、eSIMサービスのラインアップを拡充した。谷脇氏は「eSIMの利便性が認知され、全体に占めるeSIMの比率が少しずつ上がっている」と手応えを口にした。
キャリアのサブブランドが中・大容量プランを相次いで改定・強化している。NTTドコモも12月1日からahamoの料金を改定し、データ容量を増量して40GBで月額3135円からとなる。こうした情勢について谷脇氏は「IIJmioでも10GBを超えるプランの契約比率が上がってきている」と利用動向の変化に言及。対抗策については「現時点で値下げの計画を持ち合わせているわけではないが、機敏に動けるように考えていきたい」と述べるにとどめた。
また、総務省で議論が続く「端末購入プログラム」の是正に関しては、「公正な競争と利用者利益の保護はしっかりと守られるべきだ。MNPホッピングなどの社会問題への対応は必要だが、それを超えた規制緩和には言うべきことを言っていく」とけん制。「端末販売における価格の適正性や、利用者間の公平性が維持されているかが重要だ」と、MVNOの立場から健全な市場環境の構築を求めた。
ブロッキングについては「慎重な検討が必要」
直近で話題となった他社へのサイバー攻撃事案に関連し、通信事業者による悪意ある通信の「ブロッキング」についての見解を求められた谷脇氏は、通信の秘密や法制度の観点から慎重な姿勢を示した。
「現在、児童ポルノを除いて法制的にブロッキングが可能であるとは理解していないし、実際に行われてもいない。児童ポルノの場合も民間団体が厳格に判断している。法制的な観点も含め、非常に慎重な検討が必要なテーマだと受け止めている」(谷脇氏)
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