[ITmedia News] 「給与維持の週休3日制」AI効率化で実現 しかし社員が喜ばず……なぜ? 「ライザAI」提供企業で起きたこと
著者
長嶺真輝
[ITmedia]
給与はそのままで、休日は週3日に――そんな働き方改革を実践している生成AIスタートアップがある。2023年3月創業で、スマートフォン向けAIチャットアプリ「RyzaChat:AI ライザと創るあなただけのひと夏の夢物語」などでも知られるSpiralAI(東京都千代田区)だ。
同社は26年6月、従来の土日祝日休みに金曜日を加え、給与を減額せずに週休2日制から週休3日制へ移行した。1日の就業時間は変えず、週の所定労働時間を約20%減らしながら、生産性を向上させて、従来と変わらない成果創出を目指している。
休日が増えるとなれば、社員は歓迎しそうなものだ。しかし、導入を発表した際の反応は意外なものだった。
「みんな喜んでくれると思ったら、誰一人として『やった』と言わなかった」と、同社の佐々木雄一CEOは、少し苦笑いを浮かべながら当時を振り返る。
なぜ当初、社員は喜ばなかったのか。そして、週休3日制導入から約4カ月が経過した今、どんな変化があったのか。技術革新が目覚ましく、世界中で開発競争が激化するAI業界で、あえて働く時間を減らした狙いとは。佐々木CEOに話を聞いた。
週休3日制は、AI活用を加速させるための“劇薬”
SpiralAIは、大規模言語モデル(LLM)を活用し、人間らしい感情表現や会話を実現するAIの開発を手掛ける企業だ。独自のAIエンジン「Geppetto」(ゼペット)を基盤に、アニメのキャラクターや実在する著名人と自然な会話ができるサービス、ゲーム開発などを展開している。
週休3日制の対象は約20人の正社員。導入のきっかけは、佐々木CEOが以前、コンサルティング会社で企業のDXに携わる中で感じた、仕事のやり方を変える難しさだったという。
「怠惰というわけではなく、人間は誰でも、仕事のやり方を変えたくないという考えを持っていると思う。それがDXの進展を妨げていると感じていた」と話す。
SpiralAIでは以前からコーディングなどの業務に生成AIを活用し、効率化を進めていたが、さらに変革を加速させるための“劇薬”が必要だと考えた。そこで選んだのが、労働時間そのものを減らす週休3日制の導入だ。
「働く時間が20%減るので、全員が作業を20%効率化しないといけない。AIを使えたらいい、ではなく、使わないといけない状態にする狙いがあった」と説明する。
社員には効率化への努力を求めるものの、休日が増えること自体は歓迎されると考えていた。しかし、社員を集めて制度の導入を発表したところ、若手は一様に不安そうな表情を浮かべ、ディレクター職の社員からは「本当に責任を持てますか」といった趣旨の厳しい意見が寄せられた。
その背景にあったのは、やはり労働時間が減る中で、従来通りの成果を維持できるのかという不安だった。佐々木CEOは「取引先と一緒に事業を進めている以上、納期は変わらないし、品質も下げられない。そこまでの効率化ができるのか、不安だったのだと思う」と胸中を推し量る。取引先からは制度に関する問い合わせはほとんどなかったというが、仕事への責任感が先に立った格好だ。
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この記事の著者
ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。 2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。 Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。
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