〈有事の買収防衛策〉はどこまで許されるのか?日本の会社は"幹部従業員協同組合"…牛島弁護士&アクティビスト対談 | ビジネス | 東洋経済オンライン

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今年6月の株主総会で、あすか製薬ホールディングス、文化シヤッター、東邦ホールディングスの3社で「有事の買収防衛策」導入が可決された。
かつて多くの上場会社が導入した「平時の買収防衛策」は、アクティビストに株式を保有された場合に備えた事前の策だったが、経営陣の保身につながるとの批判を浴び、機関投資家の賛同を得られにくくなったことから、廃止する企業が相次いだ。
代わって導入が増えてきたのが「有事の買収防衛策」である。具体的には、アクティビストとそれ以外の株主とで、異なる権利行使条件の新株予約権を付与する方法がとられることが一般的だ。アクティビストからは当然批判の声が上がっている。
著名アクティビストで、サファイアテラ・キャピタル代表である細水政和氏、そして数々の買収防衛事案に関与してきた牛島信弁護士が、近時の有事買収防衛策に対して抱く思いとは――。
買収防衛策はアクティビストに不利益
細水 一般的に買収防衛策は株主総会の承認を経て導入されますが、だからと言って特定の株主の排除を認めるというのは、なんだか学校でクラスの誰かを大勢で抑え込もうとするのと似ていませんか。
買収防衛策で新株予約権を発行したうえで、アクティビストだけは新株予約権の行使を制限し、すさまじい希薄化によってアクティビストに経済的な不利益を与え、それに対する補填も実質ない。
このような買収防衛策はもはや憲法で保障されている財産権をまったく無視している、つまり憲法違反なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
牛島 不利益への補填がない。確かにそうですね。行われたとしても形式的な経済的補填であって、実質的な補填になっていないですからね。

左:細水氏、右:牛島弁護士
細水 近年上場会社が導入している買収防衛策では、アクティビストも含めてすべての株主に新株予約権を付与するけれど、一般株主とアクティビストとで権利行使条件に差をつける。一般株主はすぐに権利行使できるけれど、アクティビストには「非適格者」として行使制限を付ける。経済的補填にしても、10年先に新株予約権の買い取りを行う、といったものです。それによってアクティビストの足元の保有割合を薄めるわけですが、一般株主に割り当てられた新株予約権とアクティビストに割り当てられた新株予約権とでは、行使時期の制約の有無などで明らかに経済的価値が違います。それなのに平気で補填していると主張してきますよね。
牛島 株主の権利は他の株主が奪うことができるものではありません。非公開化の際に、TOB(株式公開買い付け)で3分の2以上を握った株主が、強制的に他の株主を追い出しても不当な財産権侵害にならないのは、他の株主から保有株式を強制的に買い取る株式の価値に対して、フェアな金額を払うからこそです。
補填が補填になっていない場合には、新株予約権の付与方法で差をつける有事の買収防衛策は、不当な財産権侵害の疑いがあると私は思います。
上場会社が守りたいもの、守るべきもの
牛島 常々思うのは、買収防衛策を導入する上場会社がいったい何を守りたいのかがよくわからないという点です。
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いとう・あゆみAyumi Ito
1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。
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