[ITmedia ビジネスオンライン] サイゼはなぜ、6年ぶりの「値上げ」に踏み切った? 「ミラノ風ドリア」は300円→320円に【識者に聞く】
サイゼリヤは10月29日から、メニュー全般を対象に平均6%の値上げを実施する。今回の値上げは約6年ぶりだ。看板メニューの「ミラノ風ドリア」は300円から320円に改定した。
価格を長年維持してきたサイゼリヤが、このタイミングで改定に踏み切ったのはなぜか。小売・流通アナリストの中井彰人氏に聞いた。
6年ぶりに値上げに踏み切ったワケ 「当社の努力不足」と説明
サイゼリヤは2020年7月、端数を調整するために「ミラノ風ドリア」を299円から300円に改定した。その後は主要メニューの価格をほぼ据え置いてきた。
同社はリリースで、今回の値上げの背景について「昨今の原材料価格の高騰や、エネルギーなどのコスト上昇が続く中、当社ではこれまで価格維持に向けた取り組みを進めてまいりました。しかしながら、当社の努力不足により、食材の不足や原価上昇を吸収できない事態が発生しております」と説明している。
なお「ランチ」や「モーニング限定メニュー」のほか「フレッシュワイン」は価格を据え置く。ジョッキのビールは10円値下げし、390円とした。
サイゼが値上げを実施した(出所:サイゼリヤ公式Webサイト、以下同)
中井氏は今回の値上げについて、これまで低価格を維持してきたことで競合他社との差が広がり「サイゼリヤのコストパフォーマンスの高さ」が確立されたことが大きいと指摘する。
原材料価格の高騰などで外食チェーン各社が値上げに踏み切る中、サイゼリヤは数年間にわたって価格を据え置いてきた。そのため、消費者の間で「安く食べられる店」という印象が強まり、支持を集めてきた。
サイゼリヤは「値上げを実施しても、コストパフォーマンスで優位に立つ状況は変わらないだろう」と判断したのではないかと、中井氏は指摘する。
実際に、サイゼリヤがリリースで「誠に申し訳ございませんが、お客さまにおかれましては、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます」と謝罪したことに対し、SNSでは「値上げしても安い」「努力不足なんて誰も思わない」「謝らないで!」といった声が寄せられている。
値上げ発表後、株価が急騰
サイゼリヤは10月14日、2026年8月期の決算発表と同時に値上げを発表した。翌15日の株価は、前日終値の6550円から一時7470円まで上昇し、約14%高となった。
2026年8月期の売上高は3015億円で、前期比17.4%増となり、計画の2970億円を上回った。一方、営業利益は164億円で同5.9%増だったものの、計画の182億円を約10%下回った。純利益は110億円と同1.1%減となり、減益に転じた。
売上高に占める食材費などの割合を示す原価率は、前期の41.9%から43.7%に上昇した。一方、人件費や広告宣伝費などを含む販管費が売上高に占める割合は、52.0%から50.9%に改善している。食材費などの上昇を吸収しきれず、利益が計画を下回った形だ。
それにもかかわらず、株価が急騰したのはなぜか。中井氏は、今回の値上げが業績改善につながると市場に受け止められたためだとみる。
値上げによって売上高が一時的に増えても、価格の上昇が消費者の負担となり、客離れにつながるケースもある。しかし、サイゼリヤはこれまで低価格を維持してきた実績があり、消費者からも理解を得やすい。
中井氏は「『ここまで頑張っているから、いいのでは』『客離れもないだろう』といった見方から、今回の値上げが増益要因として評価された」と説明する。
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