YouTuberがパトカーを追跡する「自動ナンバープレート撮影システム」を自作したら自宅に警官がやって来る事態に発展

ソフトウェアエンジニア兼YouTuberであるアンソニー・システィリ氏は、自身が暮らすカナダのオンタリオ州ブランプトンでも「高解像度カメラとALPR」が200万カナダドル(約2億2200万円)かけて導入されたことをきっかけに、独自のALPRカメラを製作しパトカーの動きを追跡するようになりました。
システィリ氏はTikTokにALPRカメラに関する動画を複数投稿し、製作方法や動作原理を説明しながら、「Flockの監視カメラでFlockの仲間たち(警察)をFlock(監視)する」と投稿しています。
@anthonysistilli i built a personal flock surveillance camera to flock the flockers (only tracks police cars)
♬ original sound - Anthony sistilli

システィリ氏によると、同氏の自宅を訪ねてきた警察官の1人は、「人々が警察官の居場所や勤務時間、日中の活動内容を知ることができるようになることは、警察官にとってどれほど恐ろしいことか」とわざわざ言及してきたそうです。
システィリ氏は、監視する側である警察とされる側である一般市民の両方から嫌疑の目を向けられているALPRカメラが、なぜアメリカやカナダで増え続けているのかを独自に調査しました。
システィリ氏が最初に話を聞いたのは、Flock Safetyカメラの撤去が決まったアメリカ・テキサス州フルガービルで市議会議員を務めるジョナサン・カウフマン氏です。カウフマン氏によると、フルガービルでFlock Safetyカメラ撤去のきっかけとなったのは、とある市民がFlock Safetyに対して「警察官がフルガービルのデータをどのように検索していたか」を尋ねたことだそうです。
この市民は検索件数やその詳細などを知りたいだけだったものの、Flock Safetyが提供したデータを閲覧すると、フルガービルの警察だけでなくその他の459もの機関がフルガービルのFlock Safetyカメラが収集したデータを検索・閲覧していたことが発覚したそうです。また、フルガービルのデータが検索された回数は160万回超であったのに対して、フルガービルの政府機関が行った検索はわずか3%(5078回)に過ぎなかったことも明らかになっています。
これについてフルガービルの市議会がFlock Safetyに問い合わせたところ、同社は「システムに何らかの問題があるようです。申し訳ありません、修正します」と回答し、データがフルガービル以外の機関にも共有されていたことは何らかのバグであったと説明したそうです。しかし、カリフォルニア州リッチモンドでも同様の事態が起きており、ここではアップデートにより収集データの共有設定が自動で有効化されたため、データが外部機関にも検察・閲覧できるようになっていたと説明されています。
Flock Safetyのカメラについては、警察などの法執行機関からは「治安維持に効果的である」という意見が寄せられており、実際、Flock Safetyカメラが一時停止となったリッチモンドでは、警察からの要請により、Flock Safetyカメラが再稼働しています。
しかし、実際にはFlock Safetyカメラが治安維持に効果的であることを示す研究は存在しないとシスティリ氏は指摘。2026年8月にサウスカロライナ大学がFlock Safetyカメラを使用している警察機関と、Flock Safetyカメラを使用していない警察機関を比較し、Flock Safetyカメラの導入により車両盗難が11%減少し、車両盗難後の事件解決率も16%向上したと発表しました。しかし、政府による憲法違反や権力の乱用から個人の権利を守るために活動するInstitute for Justiceは、この論文では犯罪抑止効果が大幅に誇張されていると指摘しています。
このように、Flock Safetyカメラの導入による効果がデータで明確に証明されているわけではないのに、なぜ多くの政府機関がFlock Safetyカメラを導入するのか「疑問に思った」とシスティリ氏。
同氏の調査によると、多くの都市はFlock Safetyが大規模な監視システムではなかったタイミングで、「盗難車両の回収率を上げるための解決策」として売り込まれたそうです。その後、数年かけてFlock Safetyはシステムをアップデートし、大規模な監視システムへと変身していった模様。
システムが大規模監視システムへと変貌した後、Flock Safetyは売り込み方を変更。Flock Safetyのシステムに懐疑的な市議会議員などを説得するための分厚いマニュアルを作成しています。このマニュアルでは、警察などの法執行機関に対して、市議会議員に圧力をかけ、もしもFlock Safetyのシステムを導入せずに犯罪が起きれば、それは政治家の責任であると思わせるような手法が説明されているそうです。
つまり、警察から「あの時、誘拐された子どもを救えたはずなのに、あなた方がFlock Safetyを規制したせいで子どもは死んでしまった」などと政治的に追及されることを恐れ、政治家はFlock Safetyシステムの導入に賛同してしまうというわけ。なお、このような手法はウィリー・ホートン効果として知られています。
Flock Safetyのマニュアルについて、システィリ氏は「浮気をする手引書を作成するようなもの」と指摘。さらに、「誰かがFlock Safetyを揶揄するために作成した風刺的なPDFかと本気で思いました」と述べ、内容のずさんさに唖然としていました。
KioskNews shows a cleaned-up reading view extracted from the publisher’s page — the original always lives on their site, not ours.




