光速を超えずに光より速く進むとどうなるのか?

光速(c)は国際単位系(SI)において、「c = 299792458(m/s)」と定義されています。ただ、これは真空中における光の速度であり、光が他の物質を通過する際は一時的に遅くなります。例えば水中なら25%、大気中なら0.03%速度が低下します。
光が遅くなるときは、雪道を滑るソリが泥を踏んで遅くなるときとは異なり、異物を通過し終えると瞬時に元の速度に戻るという性質があります。
光は電磁波の一種であり、電場と磁場が異なる方向に揺れ動きながら空間を伝わっていきます。変化する電場は変化する磁場を生み出し、それがまた変化する電場を生み出す、といった具合に連鎖していきます。
真空中ではこの連鎖を妨げるものがないため、光はcの速度で進みますが、他の物質中では原子や分子を揺さぶり、独自の電場と磁場を作り出します。これらの場が互いに引っ張り合うことで光は遅くなります。この遅くなった光より速くなるよう荷電粒子を加速させることが、核分裂炉であれば可能です。これをハンソン博士は「光速を越える方法」と説明しています。
核分裂炉では、ウランが分裂し、大量の熱や放射線、高速の粒子を放出しています。例えば、負の電荷を持つ電子や、それとは反対に正の電荷を持つ粒子である陽電子です。
こうした荷電粒子が水の中を移動するとき、その速度が速くても遅くても、水分子を引っ張り、電荷をある程度整列させます。有名人が人混みの中を歩いていくとみんなが振り向くようなもので、一瞬の間、全てが同じ方向を向きます。そして、荷電粒子が通り過ぎると、水分子は再びそれまで向いていたランダムな方向へ戻ります。水分子が前の向きに戻っていくとき、光子を放出します。
もし荷電粒子が物質中を通過するとき、同じ物質を通過する光速より遅く動いているのであれば、その光の波紋を見ることはほとんどできません。ただ、ジェット機が音速を超えたときに衝撃波を生じさせるように、荷電粒子が媒質中の光の速度を超えると光の波紋を生じさせます。この現象をチェレンコフ放射と呼び、チェレンコフ放射によって放射される青白い光をチェレンコフ光と呼びます。

人類で初めてチェレンコフ光を見たのはラジウムの精製に成功したマリー・キュリーだといわれていますが、ラジウムの水溶液が青く光った理由を解明したのがソ連の物理学者パーヴェル・チェレンコフであるため、チェレンコフ放射と名付けられた、とハンソン博士は説明しています。
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