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Tuesday, September 15, 2026

[ITmedia エグゼクティブ] AIで進化する特許事務所 権利化と事業伴走のプロへ IPTech弁理士法人<前編>

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産経新聞

(左から)IPTech弁理士法人の副所長兼COO・弁理士の湯浅竜氏、代表弁理士・公認会計士の安高史朗氏、副所長・弁理士の加島広基氏=8月13日、東京都港区(関勝行撮影)

 特許・知的財産に関する国内最大級の専門展示会「第35回 2026知財・情報フェア&コンファレンス」が16~18日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催される。今年は過去最大の176社が出展する。出展企業の一つである「IPTech弁理士法人」(東京都港区)は、生成人工知能(AI)を積極的に活用し、特許文書の作成など定型業務を効率化している。そこで生み出した時間を知財コンサルティングや新規事業創出の伴走支援に振り向け、クライアント企業の価値向上に注力する。生成AIは弁理士業務をどう変え、特許事務所の差別化にどうつながるのか。

生成AIのエクスパート事務所へ

 IPTechでは数年前から、生成AIの普及を見据え、知財業界と特許事務所の将来像について経営メンバーで議論を重ねてきた。その議論を組織運営や実務に反映させてきたのが、同法人の安高史朗代表(43)、湯浅竜副所長兼COO(42)、加島広基副所長(50)の弁理士3人だ。

 安高氏は「おそらく、こういう方向に変わるだろうという予測はできても、それがどの程度、どのくらいの速さで進むのかは分からない。5年先の未来を正確に予測するのは難しい」と振り返る。湯浅氏も「生成AIへの関心や対応の度合いが、数年後の弁理士の成否を分ける」と危機感を示す。

 そこでIPTechが掲げた目標が「一番生成AIに詳しい特許事務所になろう」だった。安高氏は「生成AIに詳しい状態を、いかに早く、しっかりつくるかが重要だ。そうしておけば、どのような未来が訪れても、フットワーク軽く対応できる」と強調する。

IPTech弁理士法人の副所長・弁理士の加島広基氏=8月13日、東京都港区(関勝行撮影)

 活用にあたっては、生成AIに詳しい一部の職員だけでなく、組織全体で使いこなすことを重視した。加島氏は「ボトムアップだけでも、トップダウンだけでもうまくいかない」と説明する。経営陣が導入方針を決める一方、毎月の勉強会で「この使い方はうまくいった」といった現場の事例を共有し、組織全体の知見として蓄積してきた。

浮いた時間を顧客価値へ

 実務では、生成AIを特許調査や明細書の作成、特許庁の審査結果に対する反論を検討する中間処理など、幅広い業務に活用している。

 湯浅氏は「うまく使っている人では業務効率が約2倍になり、同じ作業を半分の時間でこなせる。しかも、人間だけで作業していたときより、高品質なアウトプットを出せているという印象がある」と語る。

 ただ、重要なのは、短縮できた時間を何に使うかだ。湯浅氏は「生成AIを使って提供価値をどう高めるかを考えなければ、誰にでもできる仕事になり、専門家の価値がなくなる」と警鐘を鳴らす。

「書く人」から伴走する専門家へ

 生成AIが特許文書を短時間で作れるようになれば、文書作成自体の価値は相対的に低下する。安高氏は「『書く』というか、ドキュメントをアウトプットするところの価値は下がっていく。代わって知財活動をどう進めるかを設計する知財コンサルティングの価値が高まる」とみる。

IPTech弁理士法人の代表弁理士・公認会計士の安高史朗氏=8月13日、東京都港区(関勝行撮影)

 IPTechは2018年の創業当初から、知財コンサルティングを強みとしてきた。主な顧客の一つが、IT(情報技術)分野のスタートアップだ。湯浅氏は「特許取得は主要業務だが、あくまで手段の一つにすぎない」と強調する。

 具体的には、新規株式公開(IPO)やM&A(企業の合併・買収)までを見据え、どのような特許や商標を取得し、権利をどう活用するか、さらに保有する知財を投資家へどう示して企業価値向上につなげるかまで助言する伴走型の支援だ。

 湯浅氏は「『この人に伴走してもらえれば安心だ』と思ってもらうことが重要だ。AIによる効率化の先にある上流工程で、いかに伴走支援していくかを追求したい」と力を込める。

IPTech弁理士法人の副所長兼COO・弁理士の湯浅竜氏=8月13日、東京都港区(関勝行撮影)

 また、湯浅氏は「単に権利を取れればいい、専門用語の多い書面をつくれるからプロだ、ということではない」と指摘する。

事業や背景を理解

 目指すべき姿については、「事業や背景を理解し、どのような権利を何件、どの時間軸で取るのか。競合との関係も踏まえ、どのような強い特許群を構築するのか。そこまで考えるのが権利化のプロだ」と語る。そうなれば、書面作成は「あくまで付随的な作業」となり、生成AIで可能な限り省力化する方向に進むとみている。

 加島氏は、特許情報から競合や市場を分析する「IPランドスケープ」にも触れ、「従来は人が時間をかけていた分析でも、生成AIを使えば短時間で質の高いアウトプットを生み出せる可能性がある。従来より手厚い事業支援につなげたい」と話す。

 (聞き手 高橋天地)

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