[ITmedia ビジネスオンライン] 意思疎通に難? 技術が分かるから強い?――研究者に事業開発させるべきか否か、NEC・イビデンの回答は……
優れた技術はある。その技術を大きな事業に育てた実績もある。それなのに、次の柱となる新規事業がなかなか立ち上がらない――。
研究開発に投資し、実証を重ねても、事業という出口にたどり着けずに終わるテーマは少なくない。日本を代表する大手電機メーカーのNECも、半導体チップの土台となる「ICパッケージ基板」で大きな市場シェアを誇るイビデン(岐阜県大垣市)も、この課題を抱えていた。
「稼いでいるうちに次の成長領域を作らないと、大企業は死ぬ」――NECの高木政志氏(ビジネスイノベーション統括部 戦略共創ユニット長)は、自身が感じた危機感をこう表現する。
「技術の事業化」という高い壁。その正体は「技術の優劣」とは別のところにある。NEC、イビデン、企業の新規事業開発を支援するゼロワンブースター(01Booster、東京都千代田区)のキーパーソンたちが、事業化の道筋について議論した。
本記事は、電子情報技術産業協会(JEITA)が主催したイベント「CEATEC 2026」(10月13~16日開催)のカンファレンスから「技術はある。なぜ事業にならないのか。― IBIDEN × NEC × 01Booster ―」を取材したもの。
NEC「稼げているうちに次の成長領域を作らねば死ぬ」
技術の事業化という壁に直面したNEC。同社は過去に、携帯電話端末事業から撤退している。同社の高木氏は、携帯電話事業が立ち行かなくなるのを目の当たりにして「稼げているうちに次の成長領域を作らないと、大企業は死ぬ」と実感したことから、2014年ごろに社内横断の新規事業部門を立ち上げた。
高木氏は「かつてのNECでは、ビジネスと技術の成熟度を考慮した事業開発ができていなかった」と述べる。技術は実用レベルに達しているのに、誰が顧客なのか、解像度が低いまま進む。大手顧客との話は進むのに、技術の精度が高まらない。こうしたケースがあったという。
過去の経験から、現在は各テーマを技術成熟度(TRL)と事業成熟度(BRL)でマッピングしてポートフォリオを管理し、次にどちらを進めるべきかを決めている。
TRLは、技術が研究から実用までのどの段階にあるかを9段階で示す指標だ。「TRL 1」は基本原理が観察・報告された段階を指し「TRL 9」は実際に運用が成功した段階を示す。
モデレーターを務めたゼロワンブースターの合田ジョージ氏(代表取締役)は「技術系の企業では、論文レベルの技術と量産済みの技術が同じ事業プロセスに乗りがちだ」と指摘する。研究・技術開発には2~10年かかるため、TRLが低い技術は5~10年後の市場から逆算し、大きな事業につながるかを考えながら進める必要がある。一方、TRLが高い技術は、応用できる市場を今見つけられるかが問われるのだ。
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