Visa、「本物」音楽新体験に向けユニバーサルミュージックと協業
ビザ・ワールドワイド・ジャパン 里村明洋 マーケティング本部長(左)とユニバーサル ミュージック 上席執行役員 玉木一郎氏
ビザ・ワールドワイド・ジャパン(Visa)は17日、音楽を通じたファンとアーティストの新たな体験創出を目的とし、音楽分野における協働に向けた検討について、ユニバーサルミュージック合同会社と基本合意書を締結したと発表した。
ユニバーサルミュージックがもつ音楽コンテンツと業界知見、Visaのグローバルネットワークや決済分野における専門性を活かし、日本の音楽イベントやライブ協賛、アジア地域の音楽フェスでの連携のほか、音楽ファン向けの特別な体験や参加機会の提供に向けた連携について、両社で検討を進めていく。
日本の音楽市場は11年連続で成長しており、音源売上は世界2位の大きな市場となっている。Visaでは、音楽ファンは単に音楽を聴くだけでなく、ライブやコミュニティへの参加、関連グッズ購入や特別な体験など、様々なかたちでアーティストとコンテンツとの接触を深めている。こうした音楽体験全般に関わるファンとの接点強化に向けて、ユニバーサルミュージックと協力していく。
「本物体験」のために音楽・決済を連携
ビザ・ワールドワイド・ジャパンの里村明洋 マーケティング本部長は、「音楽は日本で最も身近なカルチャー領域のひとつ」と語り、音楽を聴くだけでなく、ライブや体験など、周辺市場が拡大していることを紹介。25年にライブやコンサートに参加した人は約6,000万人で、グッズや旅行、限定体験などライブエンターテイメント全体では約6,400億円の売上規模となっている。
Visaが持つ「決済」の先に様々な音楽・経済体験のつながりがあることから、音楽を通じたファンエンゲージメントの創出を目指し、ユニバーサルミュージックとの提携を決めたという。
ユニバーサルミュージック 上席執行役員の玉木一郎氏は、テイラー・スウィフトのツアーが地域経済に大きな影響を与えた「スウィフトノミクス」について言及し、日本公演で約340億円、海外ではさらに大きな経済効果と報じられていることを紹介。音楽が持つ経済効果に触れながら、「重要なのは目的だ」と語った。
玉木氏は、「なぜ人がそれだけのお金・時間・情熱を注いでそこに向かうのか? 音楽やライブは情熱を注ぐ『目的』そのもので、その源となるのがファンとアーティストの間の関係性(エンゲージメント)だ」と強調。音楽会社の役割は、経済規模ではなく、ファンがアーティストとの関係性を深め、本来の目的に集中できる環境を整えることだと説明する。
そのうえで、藤井風、Adoなどのユニバーサルミュージックのアーティストをはじめ、YOASOBI、Creepy Nutsなど日本のアーティストが世界で活躍している現状について、「『J-POP』という枠組みから、『J-MUSIC』という言葉へ拡張すべき時期が来ている」と言及し、音楽は人生の伴走者であり、「AIが広がる中でも心を引きつける『本物』が残る」と語った。
Visa里村氏とユニバーサルミュージック玉木氏の対談では、「好きを日常のつながりへ」「好きを特別な体験へ」「好きを次の新しい可能性へ」の3つの取り組みを紹介。
「好きを日常のつながりへ」の事例が、Adoとクレディセゾン、Visaによるクレジットカードだ。Adoとのコラボレーションにより、独自デザインのクレカ「SAISON CARD Digital<Ado>」を発表。ソーシャルメディアでは、「Visaでタッチ」にかけて「Adoでタッチ」として広がるなど、ファンのあいだで盛り上がりを見せたという。決済という日常と、ファンの「好き」をつなぐ施策だが、こうした協業でも大事なことは「本物であり続けること」と玉木氏。Ado自身も券面デザインについての”嬉しさ”をXで投稿するなど、その情熱がファンに広がっていくことに価値があるとする。
SAISON CARD Digital<Ado>
「特別な体験」においては、9月11日から原宿・竹下通りでスタートした「THE WEEKEND」のポップアップストア「After Hours Til Dawn Tokyo Pop-Up Store」の事例を紹介。アーティスト本人のクリエイティビティや世界観が詰まった「超本物」の空間として構築。ここに、Visaカード会員向けに10時から11時まで優先入場時間とするほか、優待商品、スムーズな決済を用意し、ファンがその世界観を集中して楽しめる環境を作った。こうした取り組みを今後も増やしていくという。
「好きを次の新しい可能性へ」については、日本のフュージョンの先駆者で80年代から人気を博した高中正義が、いま10代20代を中心に世界中で聞かれ、大型フェスのヘッドライナーになってることを紹介。あらゆる文脈で「発見」される音楽に対して、ユニバーサルミュージックが過去の名曲の再発見を目的にしたカバー曲のYouTubeチャンネル「Re:Re:Re:TUNE」を展開。この取り組みをVisaと協力して盛り上げていく。
今後の具体的な協業施策は未定だが、「本物」を感じられる体験創出で協力していくと説明。予約やグッズの物販といった領域についても、今回の協業の直接のテーマではないものの、改善できるものでは協力していくとした。
玉木氏は、「不要なストレスを解消しつつ、ファンがアーティストの体験に没入できる好バランスを目指したい」と言及。例えば、チケット予約やグッズ購入で「待つ」ファンの気持ちには、「早く終わった方が嬉しい」と「待ち焦がれている時間そのものが楽しい」という2つの要素が存在している。スムーズな購入体験はVisaとの協力を含めて進めながら、「アーティストを待つ、新しい楽曲を待つ、新しいライブを待つワクワクみたいな時間はしっかり残したい」と語った。
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