「原潜導入論」政治主導 反撃か哨戒か、目的定まらず―3文書改定へ議論曲折も
【図解】通常動力・原子力潜水艦の主な特徴
政府は年内に改定する安全保障関連3文書に、原子力潜水艦導入について調査・研究すると明記することを検討している。ただ、議論は政治主導で進んでいる側面が強く、導入の目的は定まっていない。政府は3文書改定に向けて与党との調整を近く本格化させる構えだが、議論は曲折も予想される。
「原潜導入調査」明記検討 政府、安保3文書改定で―中国軍の活動拡大踏まえ
小泉進次郎防衛相は9日の記者会見で、原潜保有について「議論の必要性は国民も理解するところではないか」と語った。
原潜は通常動力型艦に比べ、長時間の潜航が可能で、速力が高いのが特徴だ。小泉氏は「乗組員の安全をより高いレベルで確保しつつ、活動に従事することを可能にする」と力説した。
もっとも、原潜を導入した場合に何に使うのか、政府内の認識はばらばらだ。
潜水艦の用途は一般的に「哨戒」と「打撃」の二つ。中国海軍は近年、西太平洋など遠洋への進出を加速させており、自衛隊幹部は「近海でしか活動できない通常動力型艦ではグアム周辺まで索敵するのが厳しい」と哨戒面での利点を強調する。
一方、ある防衛省幹部は反撃能力(敵基地攻撃能力)を担う長射程ミサイルを搭載すれば「普段は海底に潜み、いざというときに浮上して敵司令部をたたく運用ができる」と打撃面での有用性を説く。
ただ、議論は百家争鳴で、「全くコンセンサスができていない」(政府関係者)のが実情だ。
目的すら定まらない中で政府が調査・研究の明記に傾いたのは政治サイドの意向が大きい。関係者によると、導入を決めたオーストラリアや韓国を念頭に、小泉氏は就任当初から意欲的。日本維新の会も6月に「早急に導入すべきだ」と提言した。自民党内にも「調査・研究なら構わない」(重鎮)と明記を容認する声がある。
ただ、原潜は兆円単位とも言われる建造費がネック。原子炉に関する専門知識が必要なのもデメリットだ。原子力の平和利用を掲げた原子力基本法との整合性も課題となる。自民内には「全てに問題がある。調査・研究しても無駄だ」(ベテラン)との声もあり、3文書への書きぶりを巡る調整は難航する可能性もある。
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