Z世代が職場で燃え尽き症候群に陥りやすい理由とは?
1990年代半ばから2010年代序盤にかけて生まれたZ世代の若者は、他の世代よりも燃え尽き症候群になりやすいといわれています。カナダのゲルフ=ハンバー大学で社会福祉学の講師を務めるニティン・デッカ氏が、一体なぜZ世代が燃え尽き症候群になりやすいのかを解説しました。
Gen Z is burning out at work more than any other generation — here’s why and what can be done
https://theconversation.com/gen-z-is-burning-out-at-work-more-than-any-other-generation-heres-why-and-what-can-be-done-270237
さまざまな研究結果により、Z世代の労働者たちが非常に高いレベルのストレスを経験し、燃え尽き症候群に苦しんでいることが示されています。たとえば、イギリスの労働者を対象に行われた研究では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック発生から18カ月間にわたる燃え尽き症候群を測定したところ、Z世代の80%が燃え尽き症候群を報告していることが判明しました。
世界11カ国の1万3000人以上の労働者を対象にした調査でも、Z世代は他の世代の労働者よりも燃え尽き症候群を感じやすいことが示されています。2022年に行われた国際的な(PDFファイル)幸福度調査でも、18~24歳の若者ではおよそ4分の1が「手に負えないストレス」を経験しており、98%が少なくとも1回の燃え尽き症候群を経験したと報告しています。
長年にわたりZ世代の学生を指導してきたデッカ氏は、「今日の職場におけるZ世代の燃え尽き症候群のレベルは驚くべきものです。若い労働者を気が散っているだとか、過度なワークライフバランスを求めていると片付けるのではなく、彼らは職場の問題点および改善点について警鐘を鳴らしていると考えるべきでしょう」と述べています。
人によって燃え尽き症候群の症状はさまざまですが、研究者らは「労働者の仕事に対する期待と、仕事が実際に要求することの矛盾」が生じた時に起きるものだと考えています。これらの矛盾は曖昧な業務内容や多すぎる業務量、要求に応えるために必要なリソースやスキルの不足など、さまざまな形で現れます。
燃え尽き症候群は3つの側面で進行し、1つ目が一般的によく知られている「疲労」です。そして2つ目が「冷笑主義や脱人格化」であり、これは仕事からの疎外感や無関心を引き起こします。無関心は3つ目の側面である個人的な達成感や自己効力感の低下へとつながります。
デッカ氏は、Z世代が燃え尽き症候群になりやすい理由として以下の3つを挙げています。
◆パンデミック後の激変
Z世代の多くは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中、あるいはパンデミック後に労働市場へと参入しました。この時期は社会が大きく変動し、ソーシャルディスタンスが必要とされる中で社会的に孤立しやすく、業務手順や仕事への要求にも大きな変化が生じました。こうした状況は同僚との日常的な交流を通じた学習を阻害し、燃え尽き症候群のリスクを高めた可能性があります。
◆経済的圧力
近年は生活費の高騰や消耗品のインフレにより、すべての世代において経済的なプレッシャーが強まっています。中でも社会に出たばかりの若者たちにとって、経済的な混乱の激化や格差の拡大、住宅費および生活費の高騰、不安定な雇用の増加といった問題は心身に大きな負担をかけています。
◆AIの発展に伴う仕事の再構築
AIがさまざまな仕事や雇用に影響を及ぼしていることも、Z世代の燃え尽き症候群を増加させる一因となっています。職場戦略家のアン・コワル・スミス氏は経済紙Forbesの記事で、Z世代は「つながりを分断するハイブリッドな勤務体系、文脈を奪い去る自動化、判断力を示すには忙しすぎるリーダーといった『新しい仕事の構造』によって定義される労働市場」に参入する最初の世代だと指摘しました。
燃え尽き症候群の対策として有効なのは、仕事に関する疎外感や孤立感を解消することです。具体的には会議の後に同僚へ話しかけて雑談をしたり、週に一度は時間を合わせてコーヒーブレイクする約束をしたりすることが挙げられます。また、より良い仕事をするために私生活を捨てて打ち込むのも危険であるため、カレンダーにしっかり自分の時間を確保して、仕事と私生活の境界線を分けることも重要です。
一方で個人による対策には限界があるため、より根本的な対策は雇用主や職場から生じます。雇用主はメンタルヘルスのサポートや柔軟な勤務形態を提供し、管理職は従業員に任せる仕事を明確にして、職場では過剰な業務量が押しつけられていないかを積極的に見直して再配分するためのポリシーを策定するべきです。
デッカ氏は、「これらの職場変革の取り組みを総合的に見ると、AIの台頭が進む時代においても職場をより人間味のあるものにし、燃え尽き症候群を軽減して従業員のエンゲージメントを高めることができるでしょう。Z世代にとって働きやすい職場は、最終的には私たち全員にとって働きやすい職場となるのです」と述べました。
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