[ITmedia ビジネスオンライン] 電話やFAXが当たり前、メアド把握はわずか1% レンタルのニッケンは「年間27万件の請求書」をどうデジタル化した?
土木・建設機械などのレンタル事業を手掛けるレンタルのニッケン(東京都港区)。部品や部材の仕入れ、商品の借り入れに伴う請求書は年間27万件を超える。
かつては全国の営業所に届いた請求書を、担当者が1枚ずつ処理し、明細を1行ずつ支払い予定データと照合するアナログな作業を数多く抱えていた。
同社は2025年1月から、クラウド請求書受領サービス「Bill One」を活用し、請求書を100%デジタル化。年間1万4000時間以上の作業時間削減につなげた。
「私たちが変えたのは請求書ではなく、業務の常識だ」。プロジェクトを主導した執行役員で管理副本部長の綱一馬氏はそう話す。
取引先との接点や社内の業務プロセスをどう変え、デジタル化を定着させたのか。
本稿はSansanが主催する「Innovation Summit 2026」のセッション「レガシーな業界の慣習と常識を変える、ニッケンの挑戦― 年間27万件の請求書を100%電子化した秘訣」を基に構成。
積み重なる分厚いファイル 圧倒的なアナログ作業をどう変革したのか
「当時は業務量の多さを、ファイルの厚さで測っていました。圧倒的なアナログの作業でした」
綱氏は当時の状況をこう振り返る。
同社が受領する請求書は年間27万6000件、月平均で約2万3000件。仕入れ先の事業所は約1万8000カ所あり、請求書の明細は月40万行に及ぶ。
従来は全国248の営業所に届いた請求書を事務センターに送り、センターの専門担当者が開封・仕分けした後、支払い予定データと目視で照合していた。確認済みの書類は営業所に返却し、ファイリングして保管していた。
こうした状況を改革するきっかけとなったのは、2030年までの売上収益の拡大に向けた経営目標だった。業務効率化とDXによる業務改革を進めるうえで、請求書処理は改善の余地が大きいと考えたという。
「もし業務の入り口となる請求書の受領が電子化されたら、その後、支払いまでの全てがオンラインで完結するようになる。書類の受け渡しや保管の必要がなくなれば、働く場所や業務時間も自由に選べるんじゃないか」
そう考え、全ての仕入れ請求書を電子化する方針を掲げた。
3段階で進めた請求書のデジタル化
Bill Oneの導入に当たっては「業務プロセスの変更」「取引先との連絡手段の変更」「自動化」という3段階で進めた。
「ポイントはシステムの導入から始めなかったことです。先に業務を変え、人を動かし、最後に自動化するのがよいと考えました」
最初に見直したのは、請求内容の確認方法だった。
レンタル事業では、顧客から商品が返却されて初めてレンタル期間が確定する。修理代やガソリン代などの付帯費用も加わるため、本来であれば請求金額の確認だけでいいはずのところを、金額に加えて全ての項目を確認する慣習があった。
そこで、金額以外の項目は請求書の受領前に確認し、受領後は金額が一致していない項目だけを確認する手順へ変更した。
ただ、従来と大きくルールが変わったため、現場ではすぐには定着しなかったという。紙の請求書が届き続けるため、担当者は以前と同じように全件を細かく確認してしまう。金額の確認に必要な情報を事前に整える作業も、忙しさから後回しになりがちだった。
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