朴正煕夫人射殺巡る映画が波紋 保守派反発、俳優宅前でデモも―韓国
韓国映画「暗殺者(たち)」のポスター(映画制作・配給会社「ハイブメディアコープ」提供・時事)
【ソウル時事】韓国で1974年の文世光事件を描いた映画「暗殺者(たち)」が公開され、波紋を呼んでいる。在日韓国人の文世光が朴正煕元大統領の陸英修夫人を射殺した事件を巡り、背後に朴氏がいた可能性を示唆する内容。保守勢力が反発し、主演俳優の自宅前で抗議デモも行われた。
9月23日に公開された映画は、73年の金大中氏拉致事件により悪化した日韓関係などを背景に、文の単独犯行ではないとの疑惑を提起。公開直後からインターネットを中心に「歴史の歪曲(わいきょく)」「人倫にもとる」と非難する声が噴出した。
朴正煕氏と陸夫人の長女、朴槿惠元大統領にとっては、父が母を殺したと受け取れる映画。朴槿惠氏側は今月2日、事件直後に朴正煕氏が朴槿惠氏に送った手紙を公表し、疑惑は事実無根と強調した。
保守系最大野党「国民の力」議員が主演俳優のユ・ヘジンさんについて「北朝鮮人みたいな顔」と発言するなど、非難はエスカレート。報道によると、4日には保守団体の数十人がユ・ヘジンさんの自宅前に集まり、上映中止や謝罪などを要求した。安全面の懸念から監督や出演者の舞台あいさつが中止になったほか、6日開幕した釜山国際映画祭への参加も取りやめになった。
これに対し、「韓国映画監督組合」が「映画に対する批判でなく人身攻撃だ」と声明を発表するなど、表現の自由の観点から反発が広がっている。崔輝永・文化体育観光相は5日、「同意できない作品に出演したからといって、演技者個人に危害を加えようとしてはならない」と指摘。警察は6日、出演者らの身辺警護を強化した。
映画では、事件の真相を追う新聞記者が「上の方」の関与の疑いに言及するが、朴正煕氏を指すのか情報機関の中央情報部(KCIA)を指すのかは特定していない。また、疑惑そのものより、言論の自由を守ろうとする記者たちの姿に焦点が当てられており、「実際に映画を見ていない人たちが政治的に騒いでいる」(革新系元議員)という声もある。
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