Apple Watchに装着できるAIレコーダ「Memoket Gem」 録音からAI活用までシームレス
Memoketは21日、AIウェアラブルレコーダー「Memoket Gem(メモケット ジェム)」の販売を開始した。会議や日常の会話を録音し、AIで文字起こしや要約を作成できる小型デバイスで、過去の複数の会話を横断して情報を整理・検索できる点が特徴。価格は31,980円。
Memoketは、モバイルバッテリーなどを展開するAnkerの元幹部らが立ち上げた企業。Memoket GemはApple Watchと組み合わせて装着もできる重量約11gのAIレコーダー。独自の長期記憶エンジン「KITE(カイト)」を搭載し、異なる日時やプロジェクトの会話を関連付けて記憶する。ChatGPTやClaudeなどのAIサービスとも連携し、録音した内容をさまざまな業務や日常生活に活用できる。
Apple Watchのバンドに取り付けられる(右)
Memoket Gemは、日常の会話や会議を録音し、AIによって文字起こしや要約を生成するウェアラブルレコーダー。Apple Watchと組み合わせて装着できるほか、専用リストバンドやクリップ、ネックレスなど、複数の装着方法を用意する。
本体重量は約11g。連続録音時間は最大20時間で、本体には最大300時間分の録音データを保存できる。マイクの集音距離は最大5m。同社が特徴として挙げるのが、独自開発の長期記憶エンジン「KITE」。
一般的なAIレコーダーのように録音ごとの文字起こしや要約を作成するだけでなく、日付やプロジェクトをまたいで複数の会話を関連付け、必要な情報を取り出せる。また、録音データを毎回アプリなどにアップロードする必要はなく、シームレスに要約などを連携できる。録音から約5分後には、アプリ内で要約や文字起こしデータを確認できる。
例えば、複数の会議で話し合われた内容を横断的に整理したり、採用面接で複数の候補者について話した内容から比較表を作成したりできる。Memoketが目指すのは、単に会話を保存するのではなく、過去の会話や背景情報をAIが利用できる「記憶」に変えることだという。
共同創業者兼CEOのテレンス・ワン氏は、現実世界とAIツールの間をつなぐ仕組みを構築することが同社のビジョンと説明。まずは会話の記録から始め、将来的には日常生活のさまざまな情報をAIが利用できるようにする構想を示した。
共同創業者兼CEO テレンス・ワン氏
ChatGPTやClaudeと連携、会話から次の行動へ
Memoket Gemは、ChatGPTやClaudeなどのAIサービスに加え、カレンダーやSlack、Notionなどの業務ツールとの連携にも対応する。
録音した会話の内容を外部のAIツールから参照できるため、利用者が文字起こしファイルを手動で書き出し、別のAIサービスへアップロードする手間も減らせる。会議中に約束した資料の送付や、次回の打ち合わせに必要な準備などを、録音内容から整理して次の作業につなげることが可能になる。
音声ファイルの取り込みにも対応し、スマートフォンなど別の機器で録音したデータをMemoketのアプリに読み込んで処理できる。PC向けのデスクトップアプリでは、オンライン会議の録音も可能。
スマホ向けアプリも用意
月300分の無料プランを用意 データは米国AWSで処理
AI機能の利用には、無料プランと有料のサブスクリプションを用意する。
無料の「Starter」では、毎月300分の文字起こしと基本的なAI機能を利用できる。「Pro」は月額約3,000円で、文字起こし時間を月1,500分に拡大し、主要なAI機能に対応する。上位の「Unlimited」は月額約5,000円で、文字起こしやAI機能を無制限に利用できるほか、データや記憶の長期保存に対応する。
録音データは利用者のスマートフォンに保存され、AIによる処理が必要な場合にAWS(Amazon Web Services)のクラウド環境を利用する。また、AIモデルの学習へのデータ利用については、利用者の同意なく行なわない。将来的には、利用者個人のデータを用いたパーソナライズモデルの開発も視野に入れるが、その場合も本人の許諾を前提とする。
同社は、録音していることを周囲に知らせる仕組みを重視しており、録音中は本体の赤いランプが点灯する。スマートフォンに装着して通話を録音する方式を採用しなかった理由についても、相手が録音されていることを認識しにくい点など、プライバシーへの配慮を挙げた。
日本市場を世界トップ3へ 日本法人設立も視野
同社は日本国内での販売拡大に向け、家電量販店など実際に製品を試せる場所を増やしていく方針を示した。個人の仕事や学習用途に加え、法人での利用拡大も視野に入れる。
Memoket Gemは当初、仕事での利用を想定して開発されたが、試験提供を進める中で、医療や教育などにも用途が広がっているという。高齢の家族が医師から受けた説明を録音し、家族が内容を確認する使い方や、大学の講義、語学学習などでの利用が挙がっている。米国では、法律事務所や医療従事者による試験利用も確認されているという。
テレンス氏は、日本市場への参入を決めた理由について、日本の消費者からの需要が想定以上に大きかったことを挙げた。日本語サイトの開設前にもかかわらず、英語サイトを通じて日本から数百件の予約注文が寄せられたという。あわせて「日本はMemoketにとって戦略的に重要な市場」と説明。自身もAnker在籍時から日本市場との関わりが深く、日本での事業拡大に意欲を示した。
今後は国内の販売代理店など複数の企業との協議を進めるほか、日本法人の設立も検討している。日本事業を率いる人材の採用も視野に入れており、現地での事業体制を整えていく考え。
具体的な販売台数や売上目標は示さなかったものの、長期的には日本を同社にとって世界第2~3位の市場に成長させたいとの期待を示した。
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