「一晩寝かせた方がおいしい」は正しいのか?
実験には成人65人が参加し、2つの料理を区別できるか報告する「同一差異テスト」、どちらが良かったか評価する「好みテスト1」、単独で試食した場合の「好みテスト2」に回答しました。
単純に出来たてのものと一晩寝かせたものを区別する同一差異テストの結果、ダルでは83%の参加者が出来たてと一晩寝かせたものの違いを区別できました。一方で、ラザニアとアップルクランブルは一晩寝かせても違いが判別されにくいと分かりました。ただし、以下の表で示されているように、2皿が同じものであった場合(Different responce:actual-same)でも半数以上が「違う」と反応している点には注意が必要です。
以下は2皿を比較して好みを回答した結果で、一晩寝かせたものをよりおいしいと回答したのはバターチキンカレーが63.8%と、大きく差異があったのはバターチキンカレーのみでした。アップルクランブルは50.8%、ビーフラザニアは49.2%と出来たてのものとほとんど差異はなく、ダルは42.3%と出来たての方が比較的好まれました。また、単独で評価する好みテスト2では、4種類の食品すべてにおいて出来たてのものと一晩寝かせたもので統計的に有意な差は見られませんでした。
研究チームは「これらの研究結果は、『一晩寝かせる』という方法の影響は控えめで、食品によって異なり、測定された感覚的結果に依存することを示しています」と述べています。また、New Scientistの取材に回答したキースト氏は「この研究は俗説を覆したわけではありませんが、俗説をより正確なものにしました。一部の食べ物は確かに一晩で変化するが、翌日の方がおいしいというのは普遍的な法則ではないということです」と語りました。
なお、この研究は記事作成時点で査読前のプレプリントであり、あくまで感覚の聞き取り調査をした実験であるため、一晩寝かせることによる化学反応などを測定したものではありません。食品の味には複数の感覚を伴った複雑なメカニズムがあるため、何が「一晩寝かせるとおいしく感じる」に影響しているのかは不明です。
研究者たちは、バターチキンカレーなどのソースたっぷりの料理は、ラザニアのような構造がしっかりした料理に比べて、「風味や香りの成分が一晩かけて再分配されるための可動部分が多い可能性がある」と示唆しています。また、冷めたものを温め直すと脂肪分解に伴ういやな臭いが発生することがありますが、バターチキンカレーのスパイシーで脂っこいソースが、そうした風味の劣化を隠すことに役立つ可能性も指摘されています。
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