AIが生成したニキビ治療薬の処方箋を発行するスタートアップが登場

Nolla Healthは2026年10月5日、ニキビ治療アプリ「Nolla Derm」を使ったAI処方サービスをユタ州で開始したと発表しました。対象は18歳以上のユタ州住民で、料金は月額4.99ドル(約790円)からです。
利用者は本人確認とインフォームドコンセントを済ませ、簡単な問診に回答した後、顔を5方向から撮影します。AIは顔の画像と問診結果を基にニキビの状態を評価し、治療が適切だと判断した場合、約10~15分で一人ひとりに合わせた治療計画と処方箋(せん)を作成します。
ただし、Nolla DermはChatGPTのような汎用AIに自由に判断させる仕組みではなく、決められた形式の問診データと顔の画像を基に、あらかじめ医師が承認した治療計画の中から適切なものを選ぶスタイルを採用しています。処方の手続きには自由に文章を入力する欄もありません。重度のニキビや妊娠など、試験の対象外となるケースではAIによる処方を行わず、医師や対面診療へ引き継ぎます。
試験は3段階で進め、安全性を確認しながら医師による監督を段階的に減らします。
第1段階では最初の100人を対象に、AIが作成したすべての処方を、医師免許を持つ2人の医師がそれぞれ確認します。処方は医師の承認後に患者へ渡され、この段階は少なくとも4週間続きます。
第2段階では対象を最大500人まで拡大し、AIが医師の事前承認なしで処方を行います。ただし、医師が少なくとも週1回、すべての症例を事後に確認します。この段階は少なくとも8週間続きます。
第3段階では、医師が処方の少なくとも10%を毎月確認します。副作用が発生した症例や、医師への引き継ぎが必要になった症例についてはすべて確認します。
次の段階へ進むには、AIと医師の判断が95%以上一致し、重篤な有害事象が発生しないことなどの安全基準を満たす必要があります。その上で、州当局から書面による承認を得なければなりません。Nolla Healthは、実際の症例で同社のAIが提案した治療と、免許を持つ臨床医の判断との一致率は96%だったと説明しています。
処方された薬は、自宅への配送か薬局での受け取りを選べます。利用者はその後も毎日肌を撮影し、28回分のスキャンが蓄積されるたびに治療計画が見直されます。必要な場合は、追加料金なしでアプリから医師に連絡できます。この際のメッセージには、AIではなく医師免許を持つ医師が回答します。
ユタ州では、以前からAIによる処方を認める実験が行われていました。
AIチャットボットを使って医師の診察なしで処方せんの再発行が可能に - GIGAZINE
ただし、これまでユタ州で行われていたのは「有効期限切れになった処方箋をAIが更新する」のみで、AIが新しい薬を初めて処方することは認められていませんでした。Nolla Dermは既存の処方を更新するのではなく、AIが患者を評価し、最初の処方まで行う点が大きな違いです。
Nolla Healthによると、ユタ州では皮膚科の予約まで平均61日ほどかかり、皮膚科医が1人もいない郡も11あります。同社は、AIによる処方によって、軽度から中等度のニキビ治療を受けやすくできると説明しています。
なお、今回の取り組みは、ユタ州当局の監督下で進める限定的な試験プログラムであり、一般にAIが医師に代わって自由に診断や処方を行えるようになったわけではありません。
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