たくさん歩くと注意力や集中力が高まるのか?
ウェアラブルデバイスで測定された活動記録から、被験者らは「1日の平均歩数が5108歩のグループ(低活動量グループ)」「1日の平均歩数が8875歩のグループ(中活動量グループ)」「1日の平均歩数が1万4161歩のグループ(高活動量グループ)」という3つのグループに分類されました。
歩数と認知機能の関連性を分析したところ、中活動量グループと高活動量グループは低活動量グループと比較して、注意力・注意散漫の制御・報酬選択といった課題で優れた成績を示すことが判明。年齢・学歴・収入・婚姻状況・出生地といった要因を考慮した後でも、低活動量グループと比較した持続的注意力のスコアは、中活動量グループでは推定1.76パーセントポイント、高活動量グループでは推定2.17パーセントポイント高くなりました。
今回の研究結果は、歩数による影響は健康状態だけでなく認知機能を必要とするさまざまなタスクに及び、日常生活の質に関連する可能性を示唆するものです。オクサガ氏は歩数が関連するかもしれない事柄について、「たとえば仕事中に集中力を維持すること、衝動的な決断を避けること、貯金や健康計画を順守すること、長期的な目標を守ることなどが挙げられます」と述べています。
なお、研究では被験者の血圧データも収集されており、収縮期血圧が高いほど報酬選択タスクの成績がわずかに低下する傾向がみられました。一方、他の要因を調整した後の拡張期血圧については、4つのタスクのいずれとも有意な関連性がみられませんでした。
研究チームは歩数が多いグループほど認知機能テストの結果が良かった理由について、グルコース代謝の改善や炎症の軽減、脳の適応能力などが関連している可能性があるとしています。しかし、今回の研究では歩数と認知機能を結びつけるメカニズムについては検証されていません。
また、認知機能テストが実施されたのは1回のみだったため、歩数の違いによって認知能力が向上したのか、あるいは低下したのかも判断できません。他にも、被験者がもともと持っていた認知能力が影響を与えた可能性がある点や、被験者の多くが大学教育を受けた白人であり、約3分の2が女性だったという点も結果に影響した可能性があります。
オクサガ氏は、「私たちの研究は観察研究であり、認知機能の健康にとって最適な1日の歩数を決定することを目的としたものではありません」「今回の研究結果は長期的な身体活動とその後の認知能力との関連性を裏付けるものですが、身体活動が認知能力の向上を引き起こすことを証明するものではありません」と述べました。
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