熊本地震の被災写真、ボランティアが洗浄 「思い出」を持ち主へ
熊本県内で最大震度7を観測した地震で、家屋倒壊などにより汚れた写真を救い出す活動をするボランティアがいる。「あらいぐま人吉」(熊本市)代表の長山公紀さん(58)は、2018年の西日本豪雨の被災地で活動後、自ら団体を設立。災害を受けて写真を処分したことを後悔する人を見てきた経験から、「依頼は半年後でも1年後でもいい。今はとにかく捨てないで」と呼び掛けている。
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「家の中に大事な写真やアルバムは残っていませんか」。8月下旬、長山さんは地図を片手に氷川町を訪問。農家の浜田康浩さん(64)に声を掛けると、娘の幼少期や成人式、妻と友人の海外旅行など、家族の思い出を収めたアルバムが軒先に積み重ねられていた。
全壊した自宅の片付け中に見つけ、雨でぬれたネガなどを乾かしていたという浜田さん。「あとは捨てるだけだと思っていた」が、長山さんから洗浄の話を聞き、2箱分を託した。懐かしそうに写真を眺めていた長女汐里さん(28)も「きれいになればうれしい」とつぶやいた。
長山さんは20年の熊本豪雨をきっかけに団体を立ち上げ、これまでに計約21万枚の依頼を受けてきた。「こちらから声を掛けると、捨てずに取っていた写真を持ってきてくれる人がいる。顔を合わせることが大事だ」と話す。
今回の地震では約3万枚を預かった。今後、ボランティアらが水洗いやから拭きで1枚ずつきれいにして返却する。生活が落ち着いた被災者には作業への参加も呼び掛けている。「支援してもらってばかりで居心地の悪さを覚えている人もいる。『自分も誰かの役に立っている』と感じることも心の復興につながる」という。
洗浄依頼は、団体のウェブサイトや被災自治体の社会福祉協議会などを通じても受け付けている。長山さんは「今は生活のことで精いっぱいだと思うが、どうか慌てて捨てないでほしい」と訴えている。
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