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Wednesday, November 4, 2026

[ITmedia ビジネスオンライン] なぜ、100年続く問屋がいま“急成長”? 4年で売上5割増、welzo社長に聞く「多少の無駄」を許す組織改革

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 相見積もりで1円単位で価格を買い叩かれ、競合と「帳合」(ちょうあい、取引枠のこと)を奪い合い、週末は取引先小売店の売り場づくりに応援の人手を駆り出される──。

 長年、消費者の目に触れない裏方として、過酷な価格競争に甘んじてきた老舗問屋が、自らその殻を破り捨てた。1921年に創業した肥料・園芸資材卸のニチリウ永瀬は2023年、100年間以上親しまれた社名を捨てwelzo(ウェルゾ、福岡市)へと改称した。

 ホームセンター市場の縮小や農家の減少という逆風の中、2020年に就任した金尾佳文社長のもとで、同社は売上高を325億円から501億円へと4年で5割以上も急伸させた。年平均で約11%の成長になる。

 「会社が変わるためなら、多少の無駄が出てもいい」──。金尾社長はそう言い切る。社内のベテランが抱え込んでいた暗黙知を共有化させ、挑戦を促す風土をどう根付かせたのか。100年企業の知られざる組織改革の舞台裏に迫る。

photo 金尾佳文(かなお・よしふみ)横浜国立大学工学部卒業後、1987年4月伊藤萬(現日鉄物産)入社。2006年ニチリウ(現welzo)に鹿児島営業所長として入社。2007年10月関連会社で用土肥料メーカーのエンゼル(現サンアンドホープ関西工場)に異動。2016年3月サンアンドホープ取締役、2017年5月代表取締役専務、同年7月専務兼ニチリウ永瀬営業本部長補佐、2018年1月ニチリウ永瀬営業本部長、同年4月同専務取締役営業本部長、2019年4月副社長を経て、2020年4月に社長就任。鹿児島市出身。1964年生まれ(筆者撮影)

「帳合」を取った、取られた 価格競争に巻き込まれてきた問屋業の限界

――1921年の創業以来、肥料原料や園芸資材をホームセンターや農家、肥料メーカーに納める卸売業を100年以上続けてきました。100年以上続く社名を、なぜ変える必要があったのでしょうか。

 当社には100年を超える歴史がありますが、問屋業という殻の中から出ることができませんでした。「旧来のビジネスモデルでも成り立つ時代だった」というのが正しい言い方です。

 当社の顧客は、園芸分野ではホームセンターや園芸店といった小売店で、農業分野では農家です。肥料原料は、肥料メーカーに納めて終わりでした。当社の前身であるニチリウ永瀬は合併を重ねてできた会社ですが、その社名を一般の方が知っているかといえば、そうではありません。当社は消費者の目に触れない問屋として、裏方で仕事をしてきた会社なのです。

 問屋業は、小売店に商品を納める立場です。小売店に対してさまざまな問屋が売り込む中で、売り場づくりの応援など、人手まで出してきました。一方で相見積もりを取られ、価格を叩き合う世界でもあります。この業界では「帳合」という言葉が普通に使われています。小売店などへ納入する取引ルートのことで、帳合を取った、取られたと言います。結局のところ、価格競争に全て巻き込まれてきたわけです。

 市場も縮んでいます。少子高齢化と地方の過疎化によってホームセンターが苦労しており、その縮小とともに当社も縮小していく、という危機感がありました。農業に目を移しても、農家の高齢化が進み、農業に就く人は減る一方です。

 では、当社の本来の目的は何なのか。農家が一番必要としているのは、楽しく付き合ってくれる相手や、気に入ってくれる業者ではありません。しっかり儲(もう)かる仕組みです。ホームセンターの顧客には、喜ばれる商品を作らなければなりません。この視点を忘れずに事業を運営することを前社長に申し入れ、私は社長を引き受けました。

創業100年を機に社名を消す 末端では「誰も知らない会社」が描いた夢

――社名を変える判断は、どのように決めたのでしょうか。

 社名の変更は、社長に就く前から決めていました。問屋業にとどまらず、将来も農園芸で食べていける会社に生まれ変わるには、CI(コーポレートアイデンティティー。企業理念やロゴ、社名などを一貫させる取り組み)で、一気に変えるしかないと周囲にも伝えていました。

 社長に就いたのは創業100周年の直前で、実際に動き出したのは100周年を迎えてからの2~3年です。節目は会社が変わる好機だと考え、パーパス(存在意義)やビジョン、バリューを定めて、当社がどこを目指すのかを示しました。

 ビジョンの下地になったのは、以前に社内の同年代のメンバーと受けた研修です。国内市場が縮む以上、海外に出て農業と園芸を手掛ける会社にならなければいけません。そこまでは話し合えていたものの、どう実現するかという道筋はありませんでした。社長になったからには、そのとき描いた姿を実現したい。その第一歩として、社名から変えることにしたのです。

 目指しているのは、世界でも名前が通る会社として表舞台に立ち、この分野なら当社に聞けと言われるようになることです。合併を重ねてできた「ニチリウ永瀬」の社名のままでは、そうした姿を打ち出せません。「welzo」という新しい社名に思いを込め、農園芸でイノベーションを起こす会社を目指して、今に至っています。

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