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Monday, October 19, 2026

イギリスとアメリカをつないでいた極秘ホットラインプロジェクト「SIGSALY」とは?

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1941年12月にアメリカが第二次世界大戦に参戦する前から、イギリスのウィンストン・チャーチル首相は、アメリカのフランクリン・D・ルーズベルト大統領と緊密に連絡を取りたいと考えていました。1930年代の技術でも、第三者に内容を聞かれにくい電話は実現可能でしたが、完全な秘密を保つことはできませんでした。

音声を変換して内容を聞き取りにくくする電話は、ある程度の安全性を確保してくれたものの、通話を傍受・解読される可能性は依然として残ったままでした。そのため、両首脳は主に暗号化された電報で連絡を取っており、電話で話す際には検閲担当者が聞き耳を立て、話してはいけない内容に触れると通話を切断していたそうです。

1940年10月、アメリカのBell Telephone Laboratoriesが、大西洋を挟んで安全に電話で話せるようにする秘密のプロジェクト「Project X」を始動。このプロジェクトで生まれた通信システムが「SIGSALY」です。SIGSALYは人間の声をデジタル化し、ランダムに生成したノイズと混ぜ合わせ、合成信号を電波で送信するというシステム。受信側は、デジタル音声信号からランダムノイズを分離し、ボコーダーを使って人間の声として聞き取ることができる音声に戻します。

SIGSALYの安全性は極めて高く、傍受されても相手に聞こえるのはノイズだけだったそうです。しかし、通信の両端で完全に同期させる必要があるため、運用は簡単ではありませんでした。合成された音声信号に混ぜる固有のランダムなノイズは、大型ターンテーブル上のレコードから生成。回線の両端にいる担当者は、同一内容のレコードを全く同じタイミングで再生しなければならず、レコード1枚の再生時間は12分でした。使用後のレコードは廃棄されるため、通話には事前に予定を組む必要があったそうです。

以下はノイズを生成するための大型ターンテーブル

SIGSALYは秘密のプロジェクトで、アメリカはその技術を厳重に守っていました。設備も非常に高価で、端末1基当たりの価格は1943年時点のレートで100万ドル(約1億5800万円)、重量は50トン超です。最初の端末はアメリカ国防総省の本庁舎に設置され、その後は世界各地の11カ所に設置されました。このうちの1基がイギリス・ロンドンの中心部にある百貨店セルフリッジズの地下2階に置かれ、1943年7月に稼働を開始。その後、セルフリッジズの地下2階からアメリカ大使館と首相官邸、そしてチャーチル戦時執務室へと内線が引かれたそうです。

チャーチル戦時執務室に引かれた内線は小さな収納室に設置されており、この部屋はチャーチル首相専用のトイレに見せかけられていました。そのため、チャーチル戦時執務室で働く大半の人も、この小部屋がアメリカと極秘通話するためのものと知る人は少なかったそうです。

チャーチル首相とルーズベルト大統領が初めてSIGSALYで通話したのは、1944年4月のことでした。その後も何度かにわたって通話が行われましたが、それ以上に連合軍の軍事計画を担う高官たちが、セルフリッジズの地下2階にある端末を用いて、アメリカの要人との通話を頻繁に行っていたそうです。第二次世界大戦中、世界中に設置された12基のSIGSALYを用いて、合計で3000回以上の通話が行われています。

1945年4月、ルーズベルト大統領が死去した際には、チャーチル首相は後任のハリー・S・トルーマン大統領とSIGSALYで会談し、哀悼の意を伝えています。さらに、2週間後にはSIGSALYを用いて2時間以上にわたる通話を行っており、この中で両首脳は第二次世界大戦の終戦後について話し合ったとされています。


チャーチル首相とルーズベルト大統領は、第二次世界大戦を通じて良好な協力関係を築くとともに、真の友情も育みました。意見が食い違うこともあり、両国の政治・軍事指導部の間には緊張の原因となる問題もあったそうです。それでも両国は協力し、最終的には共通の敵に勝利することに成功しました。「両首脳がすぐに利用できる場所に最先端技術による通信回線が存在したことは、この同盟がいかに価値を持ち、重視されていたかを物語っています」とイギリスの帝国戦争博物館はまとめています。

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