アクセルスペース、光学衛星4機故障で直面する防衛省大型案件のジレンマ…収益への影響はブラックボックスで株価低迷 | ビジネス | 東洋経済オンライン

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光学衛星の開発・運用を手がける宇宙ベンチャー、アクセルスペースホールディングスの株価が急落している。9月29日(終値521円)の大引け後に新型衛星の不具合が公表されると、翌30日に421円のストップ安となるなど3営業日で約4割も値を下げた。その後も軟調で、11月2日の終値は218円となっている。
トラブルが発生したのは、7月に打ち上げた小型光学衛星「GRUS-3」7機のうち4機だ。撮像したデータを伝送する高速通信系統が恒久的に故障した。残る3機も同じ仕様となっており、商用運用開始の目標を2027年2月へ2カ月延期した。
この事態を主因に、同社は27年5月期の売上高予想を90億円から67億円に下方修正。さらに4機について18億7900万円の減損損失を計上した結果、最終赤字の予想は従来の2億4000万円から36億5000万円へと大きく膨らんだ。決算を発表した10月15日、最大約25%の株式希薄化を伴うMSワラント(行使価額修正条項付き新株予約権)による資金調達も発表した。
防衛省のPFI事業にも影響
問題は、足元の業績への影響にとどまらない。市場が懸念するのは、中長期の収益の柱となる、防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」(PFI事業)へのインパクトだ。
アクセルスペースが主力とするAxelGlobe事業は、低軌道を周回する光学衛星で撮影した地表の画像データを顧客に提供するビジネスだ。まだ衛星数が少ない段階では撮像頻度や、一定時間内に撮影できる範囲に限界があり、商用ニーズを十分に取り込めない。一方、衛星の製造・打ち上げには多額の費用が必要で、収益拡大に先行して投資負担が膨らむ。

5月、衛星のコンステレーション構築計画について説明するアクセルスペースHDの中村社長(編集部撮影)
この間に重要な役割を果たすのが、防衛省のPFI事業だ。他国の軍事活動などを宇宙から監視するため光学衛星と、夜間や悪天候でも観測できるSAR(合成開口レーダー)衛星を組み合わせ、高頻度に地表を撮像できる衛星網(コンステレーション)の整備を目指す。事業全体の契約総額は約2831億円(税込み)に上る。
アクセルスペースは、他社とのコンソーシアムで受注したこのPFI事業で、光学衛星による画像供給を担う。同社の関連契約額は約5年間で総額436億円(税抜き)。この契約による想定売上高は、26年度の62億円に始まり、28年度には94億円、事業最終年度の30年度は111億円へと増える予定になっている。
ただし、防衛省が求める撮像頻度や画像提供量、納入時間などの要求水準を満たせなければ、サービス対価の減額や返納が生じうる。アクセルスペースには、段階的に高まる要求水準に対応できるだけの画像供給能力の確保が求められる。そうした中で起きたのが、今回の事態だ。
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おくだ とおるToru Okuda
神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入社し経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に転じた。日本の研究力低下を招いている科学技術政策や、大学・研究機関の諸問題に関心を持ち、取材・執筆を続けている。
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