[ITmedia News] GMO、不正取引の被害額を補償へ 見舞金5000円も 「お名前.com」FX用VPSへのサイバー攻撃で
著者
岡田有花
[ITmedia]
GMOインターネットグループは10月24日、FX自動売買用VPS「お名前.com デスクトップクラウド」がサイバー攻撃を受け、利用者の取引口座が不正操作された問題をめぐり、サービス利用中の全ユーザーに「お見舞金」として5000円を支払う他、不正取引で発生した損失を補償することを発表した。また、システムに「セキュリティ上の問題」が存在し、顧客情報が外部に持ち出されたことも明らかにした。
同社は今回のサイバー攻撃について、「能動的サイバー防御の『発動第1号』事案」として位置付け、国主導で攻撃基盤の追跡・遮断、無力化に向けた実効的な措置を講じていただくよう、政府関係機関へ強く要請したという。
実損額を支払いへ 取引所から返金あれば差引額のみ
見舞金5000円は、金銭的被害の有無にかかわらず、サービスを利用しているユーザー全員に支払う。受け取り手続や支払い時期については、10月30日までにメールで知らせる。
不正アクセスが原因で不正取引が行われたユーザーに対しては、口座に発生した実現損失(取引の差損、手数料など)を補償。補償の対象かは、同社が取引記録やアクセスなどの資料をもとに確認する。
補償にあたり顧客には、対象取引の日時、内容、損失額が客観的に確認できる情報を求める。また、取引所などに対して事情を説明してもらい、取引の取消や返金などを相談することも求めている。
取引所などから返金があった場合は、その金額を差し引いた残額を、同社が支払う。返金に応じてもらえない場合は、同社の調査に基づいて実損額を払う。
申請方法、必要書類、受付期間、支払い時期は、11月6日までに、登録メアドに案内する。
GMO「攻撃者からの要求には応じない」
同社は攻撃者とみられる者から金銭の要求を受けていることも明かしたが、「攻撃者からの要求には応じません」と断言した。
同社が要求に応じない場合、攻撃者は、
- 国内外の70を超える証券/FX会社に開設された顧客の取引口座に対する不正操作(不正な注文による口座残高のき損)を続ける
- 「お名前.com デスクトップクラウド」と、同サービスに接続した顧客のPCに関する情報の不正公開と、ランサムウェア攻撃の実行
- GMOグループのシステムや運用体制などに関する情報の不正公開
――を行うと連絡を受けているという。
だが「要求に応じても、取得された情報の削除や不正利用の防止が保証されるものではない」ため、要求には応じないと説明。警察など関係機関と連携し、対応を進めている。
サービスの概要と被害の経緯……「セキュリティ上の問題」が存在
「お名前.com デスクトップクラウド」は、FX(外国為替証拠金取引)を行う投資家向けのVPS(仮想専用サーバ)だ。同サービスを利用すれば、“もう1台のWindows PC”を仮想的に利用でき、自動売買ソフトを24時間稼働させられる。
ユーザーは、サービス内にインストールされた自動取引ソフト(「MetaTrader 4」「MetaTrader 5」など)に、各証券会社、FX会社へのログイン情報(ID、パスワード)などを保存し、各社のFXサービスにログインして自動売買する。
GMOは19日に利用者からの問い合わせを受けて調査を開始し、20日、一部の利用者のサーバ環境で第三者による不正なプログラムの設置を確認。21日、全プランのサーバを順次停止。影響を受けたシステムのネットワーク接続を停止し、不正アクセスの経路をしゃ断した。影響の可能性があるサーバは2万6739件としている。
その後の調査で、システムにセキュリティ上の問題が存在し、不正アクセスによって顧客の情報が外部に持ち出された事実を確認した。サーバー内に保存されていた取引口座のログイン情報等が第三者に取得され、不正に利用された可能性があるという。
GMOは調査から2日でサービスを停止したが、停止前にログイン情報などが窃取されていた場合、停止後も悪用される可能性がある。また、パスワードを変更しても、既存のログインセッションが維持されている場合は、第三者が取引を続けられる恐れがある。
このためGMOはユーザーに対し、口座のパスワードの変更やログオフ(セッションの切断)を求めている他、主要な取引所・証券各社に対し、アクティブセッションの強制切断を要請している。
現行のシステム基盤は再開せず、セキュリティ構成を刷新へ
GMOは不正アクセスを受けた現行のシステム基盤をそのまま再開せず、セキュリティ構成を刷新すると表明。ユーザーのうち希望者には、別のクラウド基盤で運用する代替サービスへの移行を案内し、移行後6カ月間は無料で提供する。
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