[ITmedia News] Binanceの約1兆円流出、北朝鮮ハッカー集団「TraderTraitor」の犯行か
暗号資産取引所で世界最大手のBinanceから約63億ドル(約1兆円)相当の暗号資産が流出した事件について、ブロックチェーン分析企業の米TRM Labsと米Chainalysisが、北朝鮮のハッカー集団「TraderTraitor」が関与したとの分析結果をそれぞれ発表した。同集団は、2025年2月に暗号資産取引所Bybitから約15億ドル相当の暗号資産を窃取した事件にも関与したとされる。
Binanceは10月30日(日本時間)、ハッキングによる約63億ドルの被害と入出金の全面停止を発表した。攻撃者は同社のエンジニアのノートPCを侵害し、不正な出金を実行した可能性があるとしている。
TRM Labsの報告によると、攻撃は29日に発生し、約20分間で大半の暗号資産が流出した。被害はEthereum、Bitcoin、Solanaなど10のブロックチェーンに及び、流出時の価格に基づく被害総額は約63億6000万ドルに上るという。暗号資産の窃盗事件として過去最大規模で、Bybit事件の約4倍に相当する。
TRM Labsは、攻撃前の準備状況や資金移動のパターンなどが、北朝鮮に関連する過去の攻撃と一致すると指摘し、TraderTraitorによる犯行である可能性が高いと評価した。攻撃者は少なくとも36時間前から準備を進め、Binanceの複数のウォレットから暗号資産を移動させたという。
一方、Chainalysisの報告では、今回盗まれた資金が、9月に発生した暗号資産取引所Bitgetからの窃盗事件で盗まれた資金と、ブロックチェーン上で混合されていたことを確認したという。Bitget事件も北朝鮮の関与が指摘されており、同社はこれをTraderTraitorとの関連を裏付ける有力な証拠としている。
攻撃者は盗んだ暗号資産の凍結を避けるため、米ドルに価値が連動するステーブルコインを、発行元が凍結できないEthereumの暗号資産ETHなどに急いで交換した。Chainalysisによると、約3億2500万ドル相当のステーブルコインを約20分間でETHに交換したほか、数千件の取引を自動化して資金の追跡を困難にしている兆候も確認された。
これに対し、ステーブルコインの発行企業や捜査当局などが協力して資産の凍結を進めている。TRM Labsは約27億ドル、Chainalysisは約28億ドル相当の資産が凍結されたと報告した。
TraderTraitorは北朝鮮に関連するサイバー攻撃集団で、米連邦捜査局(FBI)は2025年2月、Bybitから約15億ドル相当の暗号資産が盗まれた事件を同集団による犯行と特定していた。今回も同じ集団が関与したとすれば、約1年8カ月の間に過去最大規模の暗号資産窃盗事件を2度引き起こしたことになる。
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