[ITmedia News] 手のひらサイズの“宇宙AIデータセンター”? JAXA後押しの国内新興が実現目指す 南極・高山での利用も視野
著者
吉川大貴
[ITmedia]
AIの需要拡大と、イーロン・マスク氏率いる米SpaceXなどによる宇宙開発の加速で、宇宙空間にデータセンターを置く構想が絵空事ではなくなりつつある。海外勢の印象が強い分野だが、日本でも同様の技術に取り組む企業がある。宇宙スタートアップのSpaceBlast(東京都千代田区)だ。
同社はIT展示会「Japan IT Week 秋 2026」(10月21~23日、幕張メッセ)で、基盤となるデータ処理技術「TENEDGE」と、その中核を担う手のひらサイズのコンピュータ「TENEDGE CORE」を展示している。宇宙で取得したデータをその場で小型のAIに処理させ、軽量化してから地上に下ろす──という仕組みの実現を目指しており、その先には宇宙データセンターとしての運用も見込む。開発の現状を担当者に聞いた。
衛星画像を宇宙で“AI軽量化”
同社は2月にJAXAの支援基金事業に採択されており、その一環としてTENEDGEを開発している。TENEDGEは衛星上のエッジコンピュータで小型言語モデル(SLM)を動かしてデータを処理し、必要な情報だけを抽出して地上に送る技術だ。
衛星が撮影する画像は容量が大きく、高速で周回する衛星から限られた回線で地上に“下ろす”のは簡単ではない。しかしTENEDGEが実現すれば、メガバイト級の生データを宇宙上でキロバイト級のメタデータに加工でき、地上に送りやすくなるという。
将来的には「TENEDGE SPACE AI CLOUD」として、地上でLLMに欲しいデータの条件を入力し、その指示に沿って宇宙側のSLMがデータを加工する仕組みも検討している。ただし、地上側については「まだこれから」の段階という。
宇宙で使う手のひらコンピュータ
そしてSpaceBlastがいま開発しているのが、衛星上でAIを稼働させる「TENEDGE CORE」。一連の構想の中核を担うエッジコンピュータだ。
宇宙向けのコンピュータは、宇宙線(放射線)による誤作動を防ぐため、素材や設計で耐性を持たせるのが一般的だ。これに対しTENEDGE COREは、放熱性の高い素材の採用に加えてメモリやラッチ回路にエラーを検出・修復する仕組みを組み込むことで、宇宙を含む極限環境での可用性を高めている。計算性能は1機で60TOPS(1秒当たり60兆回の演算)程度という。
ブースには、実物とほぼ同じ大きさのモックアップも置かれていた。手のひらに収まるほどのサイズだ。担当者は「宇宙で使えるような高信頼性のコンピュータになる」と話す。放射線環境に限らず、南極や高山といった過酷な環境への対応も見込んでいる。
宇宙データセンターから月面まで 構想の現在地は
支援基金事業の範囲はここまでだが、同社の構想はもう少し壮大だ。将来的には、軌道上に複数のエッジコンピュータを展開し、宇宙データセンターのように運用することも視野に入れている。用途は顧客の要望によるが、例えば建設や都市開発、農業に必要という衛星画像の効率的な取得などを見込む。
担当者は月面データセンター建設・運用での活躍も期待しているという。国内で進む月面の測位システムの取り組みと、AIによるデータ軽量化を組み合わせれば、月面ローバーの位置や月面の観測状況のリアルタイムな把握に貢献できる可能性もあると話す。
とはいえ、開発は始まったばかり。JAXAの支援を受けて事業をスタートしたのは4月。採択期間は2031年度までで、それまでに技術開発と実証を終え、商用化に向けて顧客開拓も並行して進める。詳細は非公開だが、少なくとも2回は衛星に搭載し、宇宙ステーションにも載せる計画という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
KioskNews shows a cleaned-up reading view extracted from the publisher’s page — the original always lives on their site, not ours.