EVで乱暴な運転をするとバッテリーの消耗が約2.5倍になる可能性
分析対象となったのは、中国・広州市を走行する同一車種のEV15台から2022年の1年間に収集されたデータです。データには市街地の渋滞・郊外の幹線道路・高速道路での走行が含まれ、車速・バッテリー電流・充電状態・電圧・温度などが10秒間隔で記録されていました。研究チームは停車中や長時間のアイドリングなどのデータを除外し、残りのデータを60秒単位に分けて分析しました。
研究チームは走行データを機械学習で特徴の近い5つのグループに分け、バッテリーへの負荷が小さい順にレベル1~5としました。分類には速度や加速度だけでなく、バッテリーから流れる電流の大きさなども使われています。レベル1は「エコ運転」、レベル5は「最も乱暴な運転」とされました。レベル2~4には個別の名称が付けられていませんが、レベルが上がるにつれて加速が激しくなり、バッテリーから流れる電流も大きくなる中間的なグループです。
研究チームが各レベルでバッテリーから流れた電流の大きさを比較したところ、レベル1~4では段階的に増加し、レベル5で大きく跳ね上がっていました。以下のグラフは走行中にバッテリーからどれほど大きな電流が流れたかを5段階の運転スタイルごとに比較したもので、横軸はレベル、縦軸は放電電流の実効値を示しています。箱と上下に伸びる線は、同じレベルでも走行区間によって値に幅があることを表しています。
一方、平均速度はレベル1~4まで上昇していますが、レベル5ではレベル1に近い水準まで下がっています。下のグラフは同じ5段階の運転スタイルについて平均走行速度を比較したもので、横軸はレベル、縦軸は走行区間ごとの平均速度を表しています。
数値で見るとレベル5の平均速度はレベル1とほぼ同じ時速約15.5kmだった一方で、バッテリーから流れる電流の大きさは約3.2倍でした。研究チームはレベル5の運転について「渋滞中に低速で発進を繰り返したり、重い荷物を載せて坂道を上ったりする場面が含まれる」と説明しています。走行速度が遅くても、モーターに繰り返し大きな力を出させる走り方はバッテリーに強い負荷をかけるというわけです。ただし、道路の勾配や車両の積載量は記録されていなかったため、レベル5の負荷がすべて運転者の乱暴な操作によるものとは限りません。
研究チームが各レベルでみられたバッテリーへの負荷を劣化予測モデルに入力し、1000回の充放電後の容量低下率を予測したところ、レベル1~4では21.15%から26.66%へ緩やかに増加したのに対し、レベル5では53.22%に達しました。最も乱暴な運転では、エコ運転の約2.5倍のバッテリー容量が失われると予測されました。以下のグラフは60秒間の走行でバッテリーにかかる負荷を比較したもので、横軸は5段階の運転スタイル、縦軸は負荷を0から1に換算した指標です。レベル1~4では緩やかに増え、レベル5だけが大きく跳ね上がっていることが分かります。
分析対象が広州市を走行した同一車種の15台に限られ、分析開始時点のバッテリーの状態・積載量・道路の勾配・充電履歴などを記録していなかったことから、研究チームは「乱暴な運転がバッテリー劣化の原因だと決定的に証明されたわけではなく、運転以外の条件による影響をできるだけ取り除いて推定した関連として解釈すべき」だと述べています。
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