海底火山をエネルギー源とする世界初の海底地熱発電所の実証実験、海面下約1.6kmにある活火山付近で水中発電に成功
発電所の設置に際しては、船舶製造会社・Stabbert Maritimeの「Ocean Guardian」から掘削機を展開し、水深約1524mの海底に2つの穴を掘りました。掘削された穴からはいずれもセ氏約260℃の熱水が噴出したため、Endurance Energyのチームはケーシングと呼ばれる管を挿入し、周囲をセメントで固定した後、バルブを設置しました。
次に、「アデリー」と名付けられた100KWの発電所を設置しました。アデリーは、流入する熱水流体を気化させてタービンを回転させ、発電機を駆動するように設計されています。アデリーはアメリカ国立科学財団の資金提供を受ける海底ネットワークに接続することで、Endurance Energyのシアトル指令センターにも接続しました。
掘削した井戸は海底から約16mの深さで、発電所を稼働させるには熱水の流量が十分ではありませんでした。最初の井戸は、十分な熱水を得て発電することよりも、海底で井戸を掘削し、ケーシングを設置してセメントで固定し、バルブで封止する一連の作業が可能であると実証することを主な目的としていたそうです。井戸の直径もわずか5cmで、石油・天然ガスや陸上の地熱井で一般的な51~91cmより大幅に小さいものでした。今後はEndurance Energyが使用している約80mまで掘り進められる掘削機を使用することで、より深い井戸を掘削する計画としています。
アデリー発電所を稼働させるため、チームは発電所を約281℃の熱水が噴出している近くの天然の噴出口に移設しました。そして2026年9月27日に稼働が試みられ、発電所のタービンは約30秒かけて約2万6000rpm(1分間に2万6000回転)に達し、発電機は60Whの電力を生成することができました。発電量は中央値で約2KW、ピーク時には16.5KWに達し、約8.7秒間消費電力よりも多くの電力を発電し、正味収支がプラスとなりました。
レッドCEOは「重要なのは正味プラスの発電量です。この発電所は海底で自らを稼働させるのに必要な電力よりも多くの電力を生み出しました。これはこれまで誰も成し遂げたことのないことです」と報告しました。
しかしその後、タービンを回転させる過程でバッテリーモジュールが一時的な電流の急増を記録した後、データの送信を停止しました。これを受けて発電所のソフトウェアが安全措置として自動停止し、試験は中断されました。
レッドCEOによると、今回の試験で地熱発電所を天然の熱水噴出孔の上に設置したのは、純粋に研究と実証を目的とした一度限りの試験であり、今後は掘削井戸を利用した発電方式を採用する予定とのこと。また、海底や海洋生物への潜在的な環境影響を軽減するため、水質サンプルを採取したり、海底に生息する生物群を記録・監視したりといったことにも力を入れているそうです。
Endurance Energyは2026年から2027年の冬にかけて、アデリーを改修・改良した「ジェンツー」を使用し、より高い発電量を持続的に実現することを目指しています。また、2027年にはトンガ王国での最初の商用展開も予定しており、2MWの商用発電機を最大6基設置する計画です。発電機は1基あたり輸送用コンテナ程度の大きさになるとしています。
スタンフォード大学のエネルギー科学・工学教授であるローランド・ホーン氏は「海底地熱発電は、技術的にはおそらく可能と思われますが、陸上で行うよりも間違いなく費用がかかるでしょう。地熱発電プロジェクトは陸上では既に費用対効果が高いものの、価格面では競争力の限界に達しています。そのため、地熱発電のコストがより高まるとしたら、競争力を失うことになります」と警告しました。
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