ロシア当局による北海道新聞記者の拘束事件と、ロシア人のキリン事件とを絡めてはいけないこれだけの理由 | キャリア・教育 | 東洋経済オンライン

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佐藤 優 作家・元外務省主任分析官
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北海道新聞の今井裕紀記者をロシア連邦保安局(FSB)がスパイ容疑で拘束した事件について、日本がロシア人男性をドイツに引き渡したことへの報復ではないかとの見方がある。国際的なサイバー犯罪集団「キリン」の関係者とされる男性の引き渡しと、今井氏拘束の発表が時間的に近接していたからだ。
しかし、出来事の順序は因果関係の証明にはならない。両事件を結び付ける前に、誰が何を決められるのかを確かめる必要がある。
佐藤優氏によるコラム。ビジネスパーソンに真の教養をお届け。【土曜日更新】
キリン事件の男性は28歳で、今年5月、大阪滞在中に日本の捜査当局に拘束された。報道によると、ドイツの物流会社のシステムに不正アクセスして得たデータを使い、暗号資産(仮想通貨)を脅し取った疑いがある。日本はドイツ側の要請に応じ、10月に男性を引き渡した。この事実が10月6日に明らかになり、10月13日にはFSBが今井氏の拘束を発表した。2つの発表の間隔は1週間である。
この近接した日付に引かれ、拘束された日本人とロシア人を交換する構図を思い浮かべるのは理解できる。ロシアと欧米諸国との間では、実際に身柄交換が行われてきた。だが、過去に同種の交渉があったとしても、今回も同じ仕組みが働いている証拠にはならない。
どの国の管理下にあるか
まず見るべきは、交換対象と想定される男性が今どの国の管理下にあるかだ。
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さとう まさるMasaru Sato
1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。
2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)
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