GensparkとKDDI Biz Edgeが協業 社内知識をAIが整理する「TeamBrain」
Gensparkは、企業内に分散する資料やメール、議事録などをAIが自動で整理し、AIエージェントが共通して参照できるナレッジ基盤「TeamBrain(チームブレイン)」の提供を開始した。対象はエンタープライズプランの利用企業。あわせてKDDI Biz Edgeと戦略的パートナーシップを締結し、国内の中堅・中小企業へのAI導入を進める。
Gensparkは7月、「AI Workspace 6.0」を発表した。個人のメールや資料などを記憶する「SecondBrain」、企業の構造化データを業務に活用する「AgentBase」、人とAIエージェントが協働する「GenTeam」の3つを柱とする。
Gensparkでは、これらの機能によってAIエージェントが調査や資料作成などの作業を担い、人が最終的な判断や確認に集中できるようになったと説明。一方、個人の生産性が高まるだけでは、組織全体の生産性向上にはつながらないと指摘した。
企業では、業務上の知識やノウハウが複数の担当者やシステムに分散している。特定の社員しか把握していない業務の経緯や判断基準もあり、AIを導入する際には、こうした情報を事前に整理する必要があった。TeamBrainは、これらの情報をAIが扱いやすい形に自動で整理し、組織の共通知識として蓄積する。
メール、チャット、議事録、各種SaaSなどをGensparkに接続すると、AIが内容を読み取り、分類・構造化する。利用者が事前に細かなタグ付けや分類ルールを設定する必要はなく、日々の業務で生まれる新しい情報も取り込んでいく。この仕組みは、「取り込み」「整理」「活用」の3段階に分かれており、情報の取り込みと整理はバックグラウンドで進み、人やAIエージェントが必要な場面で参照できる。
また、TeamBrainの特徴は、単なる社内検索にとどまらないことだという。蓄積した知識をAIエージェントが参照し、資料やマニュアルの作成、業務ルールとの整合性確認、監査前のシミュレーションなどにも利用する。異なる資料の間で内容が矛盾している場合には、AIが不一致を検出し、人に判断を求める仕組みも用意する。
これまで企業のAI導入では、データ整理に半年から1年を要する場合もあったという。Gensparkは、先にデータを整理してからAIを導入するのではなく、AIに整理を任せながら業務を進めるアプローチを提案する。ただし、必ずしも全社員が知識の整理や管理に携わる必要はなく、一部の担当者が共有情報を管理し、多くの社員がその情報を利用する形を想定する。
組織の知識をAIエージェントが共有するうえでは、情報の取り扱いも重要になる。特に、AIが本来アクセスすべきではない社内情報や、社外秘の資料を参照してしまうリスクへの対応が求められる。
Gensparkでは、企業向けの管理画面を通じて、情報へのアクセス権限を細かく設定できる。利用者やAIエージェントが参照できる情報を制限できるほか、特定のデータやフォルダへのアクセス制御、利用するAIモデルの制限にも対応する。
企業が利用する認証基盤やアクセスポリシーと連携した管理も可能。スマートフォンなどの端末側には基本的に業務データを残さず、クラウド側で管理する仕組みを採用する。
一方、AIによる情報の整理と、組織として共有すべき情報の判断は別の役割となる。TeamBrainでは情報整理をAIに任せながら、共有範囲や内容の管理は企業側が担う。
KDDI Biz Edgeと「Mobile Work AI」 スマホから仕事を完結
TeamBrainの発表とあわせて、GensparkはKDDI Biz Edgeとの戦略的パートナーシップを発表した。
KDDI Biz Edgeが、全国の中堅・中小企業を対象にGensparkの販売から導入、利用定着までを支援する。
両社が掲げるのは「Mobile Work AI」という働き方。パソコンを開かなくても、スマートフォンからAIエージェントに指示を出し、日報や見積もり、報告書などの作成・共有までを進められる環境を目指す。
Gensparkは、生成AIの利用が広がる一方、実際の業務では依然としてパソコンを中心とした利用が多いと指摘する。建設、物流、介護、店舗、営業など、現場や移動中の業務が多い職種では、パソコンに向かってAIを操作する時間を確保しにくい。
Mobile Work AIでは、AIエージェントや業務データをクラウド側に置き、利用者はスマートフォンから音声やチャットで作業を依頼する。Gensparkのモバイルアプリに加え、LINE WORKS、Slack、Google Chat、Microsoft Teamsなどを通じた利用も想定する。
KDDI Biz Edgeの代表取締役社長 落合 孝之氏は、中堅・中小企業では人手不足が深刻化する一方、AIを導入・運用できる専門人材も不足していると説明。
同社が持つ全国の顧客基盤やモバイル・通信サービスの提供経験を活かし、AIの導入だけでなく、現場で実際に使われるまでを支援する方針を示した。
両社の取り組みは2027年1月に始動する予定で、特設サイトもオープンした。今後、営業、建設、不動産、店舗、介護、物流、人材など、業界・業種に応じたソリューションを共同開発していく。
左からGenspark エンタープライズセールスリーダー 中島 隆行氏、KDDI Biz Edge 代表取締役社長 落合 孝之氏
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