トリウム原子力とは何か―レアアースの外部不経済とウラン・サイクルの構造的限界を同時に解決できる原子力の正体 | 政治・経済・投資 | 東洋経済オンライン

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亀井 敬史 トリウム熔融塩国際フォーラム理事
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今、世界のエネルギー政策は大きな転換点を迎えている。気候変動対策としての脱炭素化と、ロシアのウクライナ侵攻以降に一気に緊張が高まった地政学的エネルギー安全保障の確保という2つの要請から、原子力発電の再評価が進んでいる。
しかし、既存のウランをベースとした原子力技術に対して、その安全性について社会が拭いきれない懸念を抱き続けていることもまた事実である。その根本原因は、原子力発電が抱える構造的な「外部不経済(負の遺産)」にある。
原子力発電が抱える「負の遺産」
原子力発電の本質は、究極的には極めてシンプルである。「核分裂性物質を原子炉内で核分裂させ、その際に発生する膨大な熱エネルギーを取り出すこと」。突き詰めればこれだけに尽きる。
だが、このシンプルな原理を現実に運用しようとすると、1つの不可避な物理過程が必要となる。それが、核分裂の際に飛び出す中性子を、周囲にある「親物質(核分裂を起こさないが、中性子を吸収して核分裂性物質に変わる物質)」に吸収させ、新たに別の核分裂性物質を作り出すというプロセスである。
「なぜそのような手間のかかることをするのだ。最初から核分裂性物質だけを用意して燃やし続ければよいではないか」という疑問が生じるかもしれない。あいにく、自然界にはそのまま核分裂を起こす天然の核分裂性物質は「ウラン235」しか存在しない。しかも、このウラン235は、自然界に存在する天然ウランの中にわずか0.7%しか含まれておらず、残りの99.3%は核分裂しない「ウラン238」である。
もし核分裂性物質(ウラン235)だけを原子炉に投入して燃やせば、燃料は急速に枯渇し、核分裂反応は維持できなくなる。大量のウラン235を用意して減った分だけ補充し続ければよいという発想もあるが、0.7%しか存在しない貴重なウラン235を使い捨てにする方式は、資源の有効利用という観点からも経済性の観点からも持続不可能である。
そこで人類が60年以上にわたって選択してきたのが、天然ウランの大部分を占めるウラン238(親物質)に中性子を吸わせ、人工の核分裂性物質である「プルトニウム239」を生み出し、それを次の燃料として再利用する「ウラン・核燃料サイクル」の道であった。
しかし、このウラン・サイクルの長期運用は、現代において2つの巨大な解決困難な負の遺産を生み出すこととなった。
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亀井 敬史 トリウム熔融塩国際フォーラム理事
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かめい たかしTakashi Kamei
1970年生まれ。京都大学工学部原子核卒、同大学院工学研究科博士課程認定退学。工学博士。著書に『平和のエネルギー トリウム原子力』など。
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