中国・Tencentが高性能AIモデル「Hy4」を発表、オープンモデルとして公開することを約束
Introducing Hy4 https://t.co/4mcX5jiUDH
— Tencent Hy (@TencentHunyuan) November 4, 2026
Hy4は、TencentのAI開発チーム「Tencent Hy」が開発した大規模言語モデルです。2026年8月には先行モデルの「Hy4 preview」が発表されており、今回のHy4はその正式版に当たります。
Hy4 previewは、総パラメーター数7700億、推論時に使用するパラメーター数490億の「Mixture of Experts(MoE)」アーキテクチャを採用しています。MoEは処理する内容に応じて必要な部分だけを動作させる仕組みで、膨大なパラメーターを持ちながら計算負荷を抑えられるのが特徴です。また、約100万トークンの長大なコンテキストウィンドウを備えています。
正式版のHy4では、事前学習と追加学習が強化され、指示への追従能力や長文の理解能力、複数の工程にまたがるタスクを自律的に実行する能力が向上しました。さらに、Hyシリーズとして初めて画像を理解する機能が搭載され、複雑なグラフの分析や画像を使った数学的な推論などにも対応しています。
また、Hy4はPC上のソフトウェアを操作する「Computer Use」機能にも対応しました。コマンドラインだけでなく、マウスやキーボードで操作するグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)も扱えるため、AIが複数の操作を計画して実行できます。3DCG制作ソフトのBlenderやCADソフトを使うための専門的な学習も行われており、複雑な制作作業を自動化できるとしています。
????Hy4 is here, new with vision.
— Tencent Hy (@TencentHunyuan) November 4, 2026
Firmly among the leading open models.
More productive everywhere: finance, frontend, game, officework, research…
Built responsibly, with cyber/biosecurity in mind.
Try it out and let us know!
????:https://t.co/ZzL4DtgH3h https://t.co/xceRxN6ueT
TencentはHy4の開発に当たって、実際の業務で役立つ性能を重視したと説明しています。例えば、同社の業務支援ツール「WorkBuddy」を使った評価では、平均スコア83.18点、タスク成功率96.15%を記録しました。中国国内のAIモデルと比較した12種類の業務シナリオのうち、9種類で首位になったとのことです。
金融分野では、Tencentの金融技術部門と共同で213人の金融専門家によるブラインド評価を実施しました。実際の金融業務に基づく579件のタスクを評価したところ、Hy4のスコアは3.04点となり、DeepSeek-V4.1-Flash-1017の2.97点、Kimi K3.1 ProとGLM-5.3の2.68点を上回りました。Tencentは、比較対象となったオープンモデルの中で最高の性能を示したと報告しています。
プログラミング分野では、複雑なビジネスロジックや状態管理、フロントエンドとバックエンドの連携に対応できるよう最適化が進められました。また、Tencentのゲーム開発部門と協力し、Unreal Engine、Unity、Godotといったゲームエンジンへの対応も強化しています。Hy4 previewと比較すると、ゲーム開発能力を測定する「GameDev」で19.1%、ゲームのロジックを評価する「GameLogic」で9.8%の性能向上が確認されたとのことです。
さらに科学研究への応用も進められています。7分野123件の研究タスクを対象とする「TenureTrail」という評価では、数学的な問題の解決、物理シミュレーション、地球環境科学、システム工学などで高い性能を発揮したとTencentは説明しています。さらに、Hy4自身をAI開発に活用する取り組みも進められており、同じアーキテクチャを使用する小規模モデルの事前学習環境をHy4が最適化した事例も紹介されています。
回答の正確性についても改善が報告されています。Tencentが実施した内部評価では、AIが事実と異なる情報を生成する「ハルシネーション」の発生率がHy4 previewの12.95%から7.2%に低下しました。十分な根拠がないまま推測したことによる誤りも23.1%から5.6%に減少したとのことです。
外部の評価機関からも高い評価を受けています。AIモデルの性能を比較するArena.aiは、現実の業務に近い長時間のエージェントタスクを評価する「Agent Arena」で、Hy4が総合14位にランクインしたと報告しました。Arena.aiによると、Hy4は現時点ではプロプライエタリモデルですが、モデルウェイトが公開されれば、オープンモデルの中でKimi K3.1 Proと並ぶ首位に相当するとのことです。
— Arena.ai (@arena) November 4, 2026Exciting news from Agent Arena: Hy4 by @TencentHunyuan just landed #14 overall. Currently proprietary, but once its weights are released it will tie with Kimi K3.1 Pro for #1 among open models!
Across +8.5K real-world, long-horizon agentic sessions from our global community of users, Hy4 delivers +4.7% net improvement and joins the Agent Arena Pareto frontier. At $0.55/task, Hy4 costs about 62% less than Kimi K3.1 Pro (Max) at $1.46/task, and the two models’ scores are within 1 percentage point.
This release is a +3.6 percentage pt improvement from Hy4 preview at #25 with +1.1%. In fact, Hy4 improved across all key signals:
- Confirmed Success (explicit “yes, that worked” from users): #11 with +8.7% (up from #16 with +4.9%)
- Praise vs Complaint (sentiment in user reactions): #18 with +3.8% (up from #24 with +1%)
- Steerability (responding to user corrections): #14 with +5.7% (up from #27 with +0.21%)
- Bash Reliability (successful shell commands): #20 with +6.2% (up from #41 with -3.1%)Congrats to the @TencentHunyuan team on this release!
データ分析ツールを開発するPlotlyも、Hy4の性能評価を公開しています。以下のグラフは横軸がAIモデルのデータ分析能力を評価するために用意した43問すべてを実行するためのコスト、縦軸が正答率を示しています。Hy4は約2.1ドルで98%という結果を記録しており、より高コストな複数のAIモデルを上回る正答率を実現しています。また、オープンモデルとしての公開が予定されているモデルの中でも、特に優れたコストパフォーマンスを示しています。
そして次のグラフは横軸が1問当たりの処理時間の中央値、縦軸が正答率を示しています。Hy4の処理時間は約117秒で、同じく高い正答率を記録したGPT-6.1 Solの約18秒やGPT-6 Astraの約27秒と比較すると大幅に長くなっています。Plotlyによると、Hy4は回答を出す前に多数のクエリやグラフを使ってデータを繰り返し検証する傾向があり、評価全体の完了には約3時間を要したとのことです。
Tencentは、Hy4のオープンモデル化に向けて安全性の確保にも取り組んでいます。サイバーセキュリティ分野では、脆弱(ぜいじゃく)性の発見や修正に役立つ防御的なデータを中心に学習させ、攻撃を目的とする教材を学習データから除外しました。同社のセキュリティ研究チームが実施した評価では、調査対象となった攻撃的なサイバー能力について重大な懸念は確認されなかったと説明しています。
生物学分野についても専門家による内部評価を実施しました。Hy4は生物学の基礎知識を豊富に備えている一方、自由度の高い実験計画を立案する能力は最先端モデルと比較して限定的だったとしています。Tencentは、モデルの重みを公開する際に、こうした安全性評価の詳細をまとめた「システムカード」も公開する予定です。
Hy4はすでにTencentのクラウドサービス「Tencent Cloud TokenHub」のほか、WorkBuddy、CodeBuddy、Yuanbao、imaなどで利用できます。外部サービスではOpenRouterなどを通じたAPI利用にも対応しています。今後は低コスト版の「Hy4 Flash」の公開も予定されています。
先行モデルのHy4 previewはApache License 2.0の下ですでにモデルウェイトが公開されていますが、正式版のHy4については2026年11月5日時点で重みの公開が確認できていません。Tencentは近日中の公開を予告しており、実際に公開されれば開発者が自前の環境でHy4を動作させたり、特定の用途に合わせて調整したりできるようになります。
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