イヌも人間と同様に「ブーバ」を丸い形で「キキ」をトゲトゲした形だと思っている可能性
イタリア・パルマ大学の動物行動学者であるエレオノーラ・ビッフィ氏らの研究チームは、このブーバ/キキ効果がイヌにも当てはまるのかどうかを調べる実験を行いました。イヌは人間が扱う多くの単語やフレーズを理解していることがわかっており、人間と同様のメカニズムで言語を処理することから、特定の音からどのような概念を連想するのかという音象徴の分野において、人間の有力な比較対象になるとのこと。
実験は2つに分けて行われ、1つ目の実験には51匹の飼いイヌとその飼い主が参加しました。イヌと飼い主のペアは左右それぞれにスクリーンとスピーカーが設置された部屋に入り、まずはイヌに部屋を探検させて環境に慣れさせた後、飼い主と一緒に座ってスピーカーから流れる声を聞かせました。
約15分間にわたってスピーカーからは「ブーバ」あるいは「キキ」という人間の声が聞こえ、スクリーンにはとがった図形あるいは丸みを帯びた図形のいずれかが表示されました。実験の様子はカメラで撮影され、AIを用いてイヌの頭(視線)の向きを分析し、「ブーバ」あるいは「キキ」と聞こえた際にどちらの図形を見る傾向があるのかを調査しました。
2つ目の実験には19匹の飼いイヌと飼い主が参加し、同様にスピーカーから音を流してスクリーンに図形を表示しましたが、飼い主には「ブーバ」「キキ」といった音声が聞こえないように、ロック音楽を流すヘッドホンを装着させました。これにより、飼い主が「ブーバ」「キキ」の音声に反応することがなくなったため、イヌは自分の判断のみに基づいてスクリーンに視線を向けることになったとのこと。
実験の様子は以下の通り。スピーカーから声が流れると同時に、左右の壁にあるスクリーンに図形が表示される仕組みです。

実験の結果、全体的に見て「ブーバ」という声が流れている時はイヌは丸みを帯びた図形に注目し、「キキ」という声が流れた時はとがった図形に注目する傾向がみられました。また、1つ目の実験ではイヌがとがった図形を見る傾向がやや強かったのに対し、飼い主がヘッドホンをした2つ目の実験ではその傾向が消失したとのこと。
研究チームは、「イヌが飼い主の無意識の合図に影響を受けたという仮説も立てられるかもしれません。しかし、人間は一般的にとがった図形よりも丸みを帯びた図形や曲線的な形を好む傾向があるため、これは考えにくい仮説です」と述べています。また、特に古代のイヌやオオカミでは顔の形状がより角張ってとがった特徴がみられるため、イヌが先天的にとがった形状に引きつけられるバイアスを持っている可能性もあるそうです。
今回の研究結果は、イヌが音と形を関連付ける上で人間と同様の傾向を持っている可能性を示唆していますが、まだ断定的なことを言える段階ではありません。科学系メディアのScienceAlertは、「これらの結果は、イヌがなぜ人間の言葉を素早く習得するのか、そしてそもそもイヌがどのようにして人間の仲間になったのかといった、より大きな疑問を探求するための興味深い出発点となります」と述べました。
なお、近年の研究ではふ化して間もないヒヨコでも、人間と同様に「ブーバ」を丸みを帯びた図形、「キキ」をとがった図形に関連付けている可能性が示されています。
【ブーバ/キキ効果】どっちが「ブーバ」でどっちが「キキ」? 音と形のつながりをヒヨコでも観測 - 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG046LM0U6A900C2000000/
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