Wikipediaの編集者はどのようにしてAI生成テキストを見つけて除外しているのか?
英語版Wikipediaでは2025年12月に文章生成AIでの記事作成をめぐる議論が行われ、よりよいガイドラインが必要だという合意はなされましたが、その時点ではガイドライン化に至りませんでした。その後、編集者のChaotic Enby氏が内容をより明確にした改定案を2026年3月15日に提出し、2026年3月20日に議論および投票が締め切られました。投票の結果、賛成が44票、反対が2票で「明確で強い支持があった」と判断され、英語版Wikipediaに「文章生成AIを使って記事の中身を書いてはいけない」と明記されたガイドラインが新設されました。一方で、文章の手直しと翻訳にAIを使用することは認められています。
Wikipediaが文章生成AIの新ガイドライン採用、記事本文の作成は原則禁止 - GIGAZINE
WikiProject AI Cleanupは、ガイドラインが設定されるよりも前の2023年12月に数名のWikipedia編集者が立ち上げたプロジェクトです。創設者の1人であるエリア・ルブルーによると、当時のChatGPTではよく見られた偏った表現がWikipediaで多く発見されたことから、WikipediaがAI生成コンテンツに問題を抱えていることに気づいたとのこと。
ルブルー氏によると、AI検出器を提供するPangramと協力してWikipediaにおけるAI生成コンテンツの割合を推定したところ、2025年末には新規記事や下書きの約20%がAI生成であると判定されたとのこと。2026年初頭にはその割合は15~16%に減少しましたが、これがガイドラインの制定による効果なのか、それともモデルの性能が向上したことでPangramが検出できなくなったためなのかは、2026年10月時点では分かっていないそうです。
WikiProject AI Cleanupは人間が記事を確認してAI生成コンテンツを見分けるため、AI特有の文章校正や表現に注意するほか、記事の内容以外も考慮します。例えば、5分で数千語の記事を複数書いた編集者がいた場合、AIによるものだと疑われる可能性があります。また、Wikipediaでは基本的に末尾に引用文献やリンクが示されますが、偽の引用や誤解を招く引用が増えているのもAI生成コンテンツの問題であるそうです。
ルブルー氏は「多くの人がWikipediaを『インターネット上の最後の良き場所』と呼んでいます。理論上、AIの雑多なコンテンツから解放された場所であることは、Wikipediaのアイデンティティの一部となっています。AI企業でさえこの点に興味を示しており、AIシステムを訓練するための、純粋に人間によって書かれたコーパスを持つことは、非常に価値のあることです。Wikipediaが今もなお、そして少なくとも近い将来もそうあり続けるという事実は、他では再現できない貴重なリソースとなっています」と語りました。
また、WikipediaはGoogle検索の「AIによる概要」で頻繁に引用されるほか、チャットAIが引用元として示すこともしばしばあります。これらによってWikipedia自体のトラフィックが大きく減少する可能性が将来的に考えられますが、ルブルー氏によると、Wikipediaを運営するWikimedia財団は、AIに引用されている記事について最終編集日時・記事の網羅性・編集者が問題点を指摘しているかどうかといった、より多くの情報を提供する帰属表示フレームワークの開発に取り組んでいそうです。また、将来的にはAIモデルを通じて記事に貢献することも可能になるかもしれないなど、「WikipediaとAIモデルの間に強い共生関係が築かれることを革新しています」とルブルー氏は語りました。
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