先例少なく高いハードル 費用負担、住民説明に課題―下水道法改正
下水道法の改正を受け、自治体の間では今後、汚水処理を集合方式から家庭単位の浄化槽に転換する動きが広がる可能性がある。一方で、参考となる先行事例は少ない。費用負担への懸念が根強く、住民の理解を得るのに時間がかかるケースもあり、国の手厚い支援が求められる。
人口減少や観光業の衰退を受け、静岡県南伊豆町は2018年度、全国に先駆けて一つの地区で浄化槽への転換に向けた住民との協議に着手。町の試算では、同地区の集合処理施設の年間使用料が1戸当たり約5万3000円だったのに対し、浄化槽では同約4万~4万5000円の見通しとなった。
町は同地区全68戸で浄化槽に切り替える方針を決定。住民の負担軽減のため、設置費用を全額補助し、21年度に設置が完了した。担当者は「住民に丁寧に説明し、賛同を得られたことが大きい」と話す。
町では現在、残りの集落排水と下水道でも転換に向け情報を収集している。ただ、不要となった下水道管は、掘り起こして撤去するかセメントなどを詰めて残す必要があり、低コストで対応できるよう国に支援を求めている。
岐阜県下呂市は農業集落排水などを抱える8地区のうち、小規模地域で移行。残る7地区では住民説明会を開いたものの、転換で住民負担が増える懸念もあり、担当者は「行政の方針で下水道を処理してきた経緯もあり、転換は簡単ではない」との見方を示す。
さらに、設置などの初期費用への懸念から具体的な検討に至っていない自治体も多い。このため、環境省は27年度、転換自治体への補助の拡充などを検討している。
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