米中間選挙、データセンター争点 バンス氏お膝元で共和苦戦―計画急増で住民反発・中西部オハイオ州
11月3日投開票の米中間選挙で、人工知能(AI)ブームに伴い全米各地で整備が進むデータセンターが重要な争点に浮上している。特にバンス副大統領のお膝元、中西部オハイオ州では与党共和党が牙城とする農村部を中心に計画が急増。環境破壊などへの懸念から反発が広がり、上院選や知事選で共和党が思わぬ苦戦を強いられている。敗北すればバンス氏にも痛手だ。
◇党派超え団結
「データセンターはいらない!」。州都コロンバスから車で約1時間半の町ピクア。中心部で今月6日、住民グループがプラカードを掲げ、データセンター整備への抗議活動を行った。近くを通る車から時折、応援のクラクションが響く。活動を率いる農家のアリーシャ・ラングさん(43)は「共和や民主、無党派の違いを超え、私たちは団結している」と語る。
問題となっているのは、米IT大手メタ(旧フェイスブック)が東京ドーム52個分の広さに相当する約2.5平方キロの農地で計画するデータセンターだ。水の大量使用や水質汚染、電気料金高騰などへの不安が広がるほか、不透明な決定プロセスや税制優遇措置に対する不満も噴出している。
オハイオは既にデータセンターの数が200超に上り、米国内で有数の集積地だ。さらにピクアのような農村部でIT大手の新規大型案件が相次ぎ、州南部ではソフトバンクグループも大規模施設を計画する。
ピクアを含むマイアミ郡は共和党色が強い地域で、民主党のバイデン前大統領が勝利した2020年大統領選でも、トランプ大統領は7割を超える票を獲得した。ラングさんも共和党支持者として有権者登録をしている。ただ、地元の共和党議員がデータセンターに関する相談に全く応じなかったことに落胆し、中間選挙で「彼らに票を入れるつもりはない」と打ち明けた。
◇誘致の「象徴」
住民の怒りは選挙情勢に表れている。上院選では、副大統領に就くため上院議員を辞めたバンス氏の後任である共和党現職ジョン・ヒューステッド氏が民主党元職シェロッド・ブラウン氏に対し、やや劣勢のもようだ。ブラウン氏はオハイオにデータセンターが多いのは、ヒューステッド氏が副知事時代に税制優遇を通じて誘致したからだと主張。同氏こそ「データセンターの『象徴』」だと批判する選挙広告を展開する。
知事選は、24年大統領選で共和党の候補者指名争いに挑戦したビベク・ラマスワミ氏と民主党のエイミー・アクトン氏による新人同士の対決。こちらも共和党の劣勢が伝えられている。
オハイオなどの「ラストベルト(さび付いた工業地帯)」は16年大統領選でトランプ氏支持に流れ、当選に大きく貢献したとされる。そうした地域での苦戦に共和党は危機感を募らせ、トランプ、バンス両氏とも選挙戦終盤にオハイオ入りを繰り返している。
それでもデータセンター推進の姿勢は崩していない。トランプ氏は今月3日の集会で、データセンターにより「オハイオに大きな収益が見込める。追い出すわけにいかない」と訴えた。バンス氏は9日、データセンターを「経済の原動力にする」と強調した。
国内政治に詳しいシンシナティ大のデービッド・ニーベン教授は、共和党がオハイオの上院選や知事選で敗れれば「恥ずかしい事態だ」と指摘。バンス氏がトランプ氏の後継大統領を目指す上で「決してプラスにならない」との見方を示した。(ピクア=米オハイオ州=時事)。
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