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Thursday, October 1, 2026

AI時代に接近する決済とトークン Stripeが描くエージェンティックエコノミー

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Stripeは30日、「Stripe Tour Tokyo 2026」を開催し、多くの新サービスや新機能を発表した。日本に直接関係するトピックは別記事で紹介しているが、発表の軸と位置づけていたのが新たな「経済主体」としてのAIによる「エージェンティックエコノミー」についてだ。

エージェンティックコマースなどを推進してきたStripeだが、AIによる自律的な購買や決済、さらにはプロダクト構築などにより、経済活動は「根本的な変革」を迎えると言及。その中におけるStripeの役割などを紹介した。

Stripeは、OpenAIやAnthropicなどのAI企業やグローバル企業が導入しており、日本でもトヨタ、ソニー、DeNA、東宝などで採用している。Stripe共同創業者兼プレジデントのジョン・コリソン氏は、Stripe全体で世界500万以上の事業者が利用し、年間1.9兆ドル(約300兆円)が決済されており、世界決済量の約1.6%をStripeが取り扱っているという。

Stripeは近年、「AI時代の金融インフラ」を目指した機能強化を進めている。この動きは、「エージェンティックコマース」、「ソフトウェア収益構造の変化」、「経済の新陳代謝」といった変化にあわせたものとする。

Meta Museで変わったエージェントコマースと必要な「信頼」

注力する領域のひとつが「エージェンティックコマース」。ECにおける購買をAIが代行するもので、Stripeではエージェント同士が直接決済を受け付ける「Machine Payments Protocol(MPP)」などを展開しており、Stripeのデジタルウォレット「Link」も対応している。

これまでエージェンティックコマースは、注目はされてはいたものの、最終的にはユーザーが確認して「購入」するものが多かった。「発見」「選択」まではエージェントが担っていても、最終的な決断・購入は人間に委ねるものだ。

主要AIサービスと連携

しかし、9月にスタートしたMetaのAIエージェント「Muse」では、購入までをエージェントに委ねるケースが急増。MetaのMuseもLinkを使ったAIエージェント決済に対応しており、「この3-4週間で大きな変化が起きている」(データ&AI責任者であるエミリー・サンズ氏)という。

また、Linkは、SpaceXAIのGrokBotやOpenAIなどでも対応しており、こうしたエージェント経由でのコマース拡大に期待を寄せる。

日本ではMeta Museも始まっておらず、エージェンティックコマースへの不安の声も聞かれる。コリソン氏も「時間はかかる」が、段階的な経験で浸透していくはずとの見解を示す。

Stripe共同創業者のジョン・コリソン氏

また、エミリー・サンズ氏は、「オンラインショッピングの始めのころと同じと考える。まずは安価なものやよく知っているもの、例えば、同じ色の同じサイズのジーンズを買うとか、そういう使われ方だった。そうした経験から信頼され、徐々に拡大していく」と述べる。加えて、「例えば旅行の計画などは、それ自体が楽しい場合もある。また、プレゼントを選ぶという経験は個人的なもので、全てをエージェントに委任するものではない」とした。

オンラインショッピングにおいても、返金・返品などの制度や使い方の信頼性が得られてから普及した経緯をエージェンティックコマースも辿るとした。

Stripeエミリー・サンズ氏

「トークン」と「決済」の接近 なぜOpenRouterを買収したのか

また、AI活用はサービス開発にもおよび、「Stripe Projects」というサービス開発プラットフォームも紹介した。

通常、アイデアを思いついてからプロダクトとして世にリリースするまでに約40のプロセスがあるが、それらを大幅に短縮できるという。一例として、「冷蔵庫にある食材をAIに渡すとレシピを生成し、100円を課金するWebサービス」の構築を依頼すると、環境構築としてNext.js、Cloudflareでドメイン取得、PostgreSQLによるデータベース構築、OpenRouterを通じたAIアクセス、決済組み込みなどの作業をStripe Projectsが自動的に実行。即座にサービスのプロトタイプを作れるというもの。AIに駆動されるサービスにより、ソロプレナーの拡大を促す。

AIの導入により、サービスの作り方だけでなく、「課金の仕組み」にも変化が生まれている。アカウントごとの「定額課金」だけでなく、利用料に応じた「従量課金」の事例が増えているのだ。

AIでは、全てのプロンプトやAPI利用、AIエージェントのタスク実行にコストが発生するため、ユーザー数よりも「実際のトークン利用量」をリアルタイムに計測し、課金する仕組みが求められる。

AI開発プラットフォームの「Lovable」や音声AIの「ElevenLabs」などの著名AIサービスも、当初は定額サブスクから従量制へ切り替えることで成功を収めているが、この背景にもStripeの仕組みが活用されている。

一方で、トークンが貨幣に近い価値を持ち始めたことで、確実に利用料金を回収できるようセキュリティが重要になる。実際に、近年はトークンの不正利用事例が大幅に増えており、無料トライアルに登録して高額なトークンを消費しながら未払いで離脱したり、複数アカウントを不正に使うといった事例もあり、顧客獲得コストが8万円というサービスもあったという。

そのため、Stripeのセキュリティサービスである「Stripe Radar」では、トークン窃取対策を強化。新規アカウントのリスク分析をリアルタイムで行ない、不正を検知できる。

Stripeは8月、AIモデルゲートウェイのOpenRouterを買収した。この買収も、トークンが貨幣に近い使われ方をする中で、コストを最小化しながら、収益とAI活用による成果を最大化する仕組みを目指した取り組みの一環としている。

広がるステーブルコイン活用

ステーブルコインについては、クロスボーダー取引での活用例を紹介。160カ国以上での送金に対応しているが、国境を越えた送金や多国籍クリエイターへの送金などで、すでに多くの取引が行なわれている。

また、ドル建ての新しいステーブルコイン「Open USD」対応なども進めているほか、今後のAIエージェントによる情報取得や作業代行などの際に、トークン単位やコンテンツ単位など少額決済のための手段としての広がりも予想しているという。

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