家庭にある電子レンジを使って「ソーラーパネル」を作る方法とは?

半導体製造は厳重に機密が守られた多くの人にとって理解が及ばない世界ですが、Dr.Semiconductorは工場の機能を物置小屋サイズにコンパクト化し、オープンソース化することを目指しているとのこと。
今回Dr.Semiconductorが取り組むのは、初心者でも比較的製造しやすいソーラーパネルの自作です。もちろん簡単ではありませんが、完全なトランジスタを作るよりは間違いなく簡単だとDr.Semiconductorは語っています。
ソーラーパネルは複数のシリコンを配置して接続したもので、それぞれのシリコンは光を吸収して電気に変換する正極層と負極層を備えた巨大なダイオードです。
自宅でソーラーパネルを作るには、まず正極層がすでに組み込まれているP型シリコンウェハーをAmazonなどで購入します。
P型シリコンウェハーに負極層を組み込むためにはリンを添加しますが、ソーラーパネルには均一な負極層が必要なため、表面にただリンを振りかけるだけではいけません。負極層を作るには液体ガラスの層を作り、そこにリンを充塡(じゅうてん)する必要があるとのこと。
リンを充塡した液体ガラスのコーティングを作った後に高温で加熱すると、リンが入り込んで負極層が形成されます。その後金属接点を取り付けて光を当てれば、ソーラーパネルとして発電できるとDr.Semiconductorは解説しています。
まずは購入したウェハーを超硬チップまたはダイヤモンドチップで切断し、小さな正方形を作ります。
ウェハーは原子レベルで洗浄する必要はないものの細かい粉や切片は取り除きたいため、紙コップに消毒用アルコールや蒸留水を入れたものを用意し、切ったウェハーを洗浄します。
続いてリンを含む液体ガラス溶液を製造します。これらの材料はテトラエトキシシラン(TEOS)・リン酸・エタノール・蒸留水などで、いずれもAmazonやeBayなどの通販サイトで購入可能だとのこと。
各成分を混ぜ合わせて30分間加熱すればリン入りの液体ガラス溶液が準備できます。
続いてウェハーに液体ガラス溶液を塗布しますが、うっかり溶液がウェハーの裏側に浸透してしまうと両面が負極層になってしまいます。これを防ぐため、Dr.Semiconductorは電子基板のマスキングなどに用いられるカプトンテープでウェハーの縁を覆いました。
PCファンの上にウェハーを固定し、カプトンテープで覆われてない面に液体ガラス溶液を添加。
そのままPCファンを回せば均一に溶液が広がります。
カプトンテープを剥がせば、片面にだけリン入り液体ガラス溶液を塗布したウェハーが作れます。
続いてウェハーを加熱して負極層を作り出します。Dr.Semiconductorはわずか1万円未満の電子レンジを購入し、加熱に使うことにしました。
理論的にはウェハーが最低でも900℃に達すれば負極層が形成されるはずとのことで、中にウェハーを置いて最高出力で30分間加熱。
ところが、次第に電子レンジの中が真っ赤になってきました。
取り出してみたウェハーはこんな感じで完全に溶けてしまっていました。シリコンを溶かすには1400℃以上の高温が必要とのことで、想像をはるかに超える高温になっていたようです。
Dr.Semiconductorは新しいサンプルを作り直して再度チャレンジ。今度は炭素性のるつぼにウェハーを入れ、余計な高周波吸収が起きないようにしました。
しかし、今度もるつぼ内部のウェハーが溶けてしまいました。最初ほどぐずぐずに溶けているわけではないものの、やはり高温になりすぎているようです。
次は出力を最大の30%まで下げ、切ったシリコンの余りを入れてテスト。
今度はシリコンが溶けずにすみました。
試行錯誤の結果Dr.Semiconductorはうまくいく加熱方法を見つけ、無事にシリコンウェハーの表面に負極層を形成できました。
しかしまだ終わりではありません。現状では液体ガラスの層が全体を覆っており、内部にアクセスできません。
ソーラーパネルとして発電するには、外側のガラス層を取り除く必要があります。
ガラス層を取り除く方法のひとつは、1%のフッ酸溶液が入ったさび落としにウェハーを入れて30分間放置し、その後ウェハーを取り出して脱イオン水で洗い流すという方法。
もうひとつは、2000番のサンドペーパーと少量の水を使って表面のガラス層をこすり落とすという方法です。
完成したウェハーに光を当てて電圧の変化を測定すると、確かにソーラーパネルのように電圧変化が確認されました。
続いてDr.Semiconductorはガリウムとインジウムの混合物からなる液体金属を作成。
ウェハーのホルダーを3Dプリントで作成し、そこにワイヤーを接着。液体金属を流し込んでウェハーを接着し、さらに負極層にも液体金属を貼り付けます。
そして正極・負極の両方にワイヤーを接続して電流が流れるようにします。
その後Amazonで見つけた部品を使って太陽光発電回路を組み立て、作ったソーラーパネルでリチウムイオンバッテリーを充電するテストを行いました。
リチウムイオンバッテリーの電圧は正常に上昇し、やがてスマートフォンの充電もできるレベルに達しました。なお、ソーラーパネルは発電効率が約5%と低い上にサイズも小さいため、スマートフォンを満受電するには3カ月ほどかかるとのことです。
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