Bluetoothの通信速度を約4倍に引き上げる「Bluetooth HDT」が正式採用される、2027年にはロスレス音声対応製品が登場へ


以下は実際にデータ転送時のビットレートを計測したグラフで、一番上がBluetooth HDT(最大7.5Mbps)で平均3675kbps、一番下がBluetooth LE(最大2Mbps)で平均1271kbpsです。あくまで実測値なので理論値ほど大きな差は出ていませんが、それでもBluetooth HDTはBluetooth LEの3倍近い速度で通信できていることがわかります。
Bluetooth SIGは、Bluetooth HDTには通信速度以外にも3つの利点があると述べています。1つは、周波数帯域を効率的に利用することで限られた無線通信資源でより多くのデータをやり取りできるようになるという点。また、短時間で大量のデータを送信できるため、通信回路が動作する時間を短縮して消費電力を削減できるのもメリット。さらに、通信の安定性も改善され、さまざまな環境で信頼性の高い接続を維持しやすくなるとのこと。
Bluetooth HDTの最初の主要な用途として想定されているのが高音質なワイヤレスオーディオです。従来のBluetoothオーディオでは通信帯域の制約から、音声データを圧縮して伝送する方式が広く利用されてきました。Bluetooth HDTでは通信速度の向上によって、音質を損なわずに音声データを伝送する「ロスレス音声」や、高解像度の「ハイレゾ音声」を標準規格として扱うための基盤が整います。
また、Bluetooth HDTは複数のスピーカーを利用して立体的な音場を再現する「マルチチャンネルサラウンドサウンド」や、音が聞こえる方向や位置を表現する「空間オーディオ」の高度化にも役立つとされています。
さらに、Bluetooth HDTの用途はオーディオ機器だけではありません。例えば、スマートウォッチに蓄積された運動記録や健康データをスマートフォンへ短時間で同期したり、スマートホーム機器のファームウェア更新を高速化したりすることが考えられます。
加えて、Bluetooth HDTはスマートグラスなどのXR機器やAI搭載デバイスでの活用も期待されています。小型の機器で取得したデータをスマートフォンなどに送信して処理する際、通信速度が向上すれば、より大量のデータを短時間でやり取りできます。Bluetooth SIGは「産業用機器の自動化や監視システムでも通信容量と信頼性の向上が役立つ」と説明しました。
Bluetooth SIGは、Bluetooth HDTを利用した高品質なワイヤレスオーディオの標準仕様が2027年に公開される見通しを示しています。Bluetooth SIGのネビル・メイヤーズCEOは「Bluetooth HDTはBluetooth技術に新たなレベルの性能をもたらし、消費者向け、商業向け、産業向け市場でBluetoothが果たせる役割を拡大します」と述べています。

なお、Bluetooth HDTは新たに採用された「Bluetooth Core 7.0」に含まれるオプション機能です。そのため、Bluetooth Core 7.0に準拠したすべての機器が7.5Mbpsで通信できるわけではなく、Bluetooth HDTに対応した機器が必要となります。Bluetooth SIGは2027年に高品質なワイヤレスオーディオ向けの標準仕様を公開する見通しですが、具体的な対応製品の発売時期は明らかにしていません。
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