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Wednesday, October 28, 2026

OpenAIとAnthropicが2026年夏から秋にかけてLLM料金を相次いで値下げした理由とは?

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OpenAIとAnthropicが2026年夏から秋にかけて大規模言語モデル(LLM)の利用料金を相次いで引き下げました。この値下げについてデータサイエンティストのマックス・ウルフ氏は、別のモデルに乗り換えやすいことと、モデルの重みを公開する「オープンウェイトモデル」との競争を背景として挙げています。

OpenAI and Anthropic cut their LLM prices by up to 80% within a few months. Why? | Max Woolf's Blog
https://minimaxir.com/2026/10/cheap-llms/


OpenAIは値下げ後のGPT-5.6 Lunaと、DeepSeek V4 ProやGLM-5.2などのオープンウェイトモデルのコスト効率を比較したグラフを公開しています。以下のグラフの横軸は1つのタスクにかかる費用をドルで示した対数目盛り、縦軸はArtificial Analysisの知能評価指標のスコアで、左にあるほど費用が安く、上にあるほどスコアが高いことを表します。

Opus 5.5の料金は100万トークン当たり入力4ドル(約632円)・出力20ドル(約3160円)・キャッシュ読み込み0.20ドル(約31.6円)で、Opus 5と比べて入力と出力は20%、キャッシュ読み込みは60%の値下げ。Anthropicは、AIエージェントを使った作業やコーディングではキャッシュ読み込みがコストの大部分を占め、標準設定で一般的な作業を行う場合の総コストはOpus 5より40%低くなると説明しています。

ウルフ氏は、こうした値下げの理由について、プログラミング支援ツールのOpenCodeやZed Agentを使えばモデルを簡単に切り替えられる点を指摘。別のモデルへの移行にかかる手間や費用を指す「スイッチングコスト」が低いため、利用者を特定のサービスに囲い込みにくいという分析です。

実際に複数のAIモデルの利用を仲介するVercelのAI Gatewayでは、9月の1カ月間に、最も多く使うモデルを変更したチームが48.0%、モデルの開発企業まで変更したチームが28.6%に上りました。半数近いチームが主力モデルを切り替えていることから、利用者を特定のモデルや企業に囲い込む難しさがうかがえます。

また、ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでは、「OpenAIとAnthropicでサイバーセキュリティを理由に処理を拒否され、KimiやGLMのモデルを試したところ、KimiやGLMの方がはるかに安く、途中で処理が拒否されることもなく作業を完了できた」との指摘が出ています。

さらに、ウルフ氏が値下げの要因に挙げるのが、オープンウェイトモデルとの価格競争です。オープンウェイトモデルでは学習によって決まる数値データである「重み」が公開されるため、開発元以外の企業もモデルを動かすことができます。

例えば、複数のモデルや提供事業者をまとめて利用できるOpenRouterのDeepSeek V4.1 Flash 1017のページには、DeepSeek自身に加えてCloudflareやDeepInfraなどの料金が掲載されています。同じモデルを複数の事業者が提供しているため、利用者は料金を比べて利用先を選べるわけです。

ウルフ氏が2026年10月24日に確認した時点では、このモデルを提供する事業者は29社ありました。以下の一覧はキャッシュ読み込み料金が安い順に並べたもので、100万トークン当たり0.003ドル(約0.47円)前後の事業者が複数あります。一覧中の入力・出力・キャッシュ読み込みの料金は、いずれも100万トークン当たりのドル建て価格です。

OpenRouterによると、DeepSeek自身の料金は100万トークン当たり入力0.15ドル(約23.7円)・出力0.60ドル(約94.8円)・キャッシュ読み込み0.003ドル(約0.47円)です。キャッシュ読み込みの料金は通常の入力の2%に抑えられており、OpenRouterでは料金の安い事業者を優先して利用する設定も可能。ウルフ氏は、GPT-5.6 Lunaの7月の80%値下げについても当時の小型オープンウェイトモデルに対抗する狙いがあったとみています。

モデルの低価格化と利用拡大はVercelのAI Gatewayの集計にも表れています。以下のグラフの横軸は2026年4月から9月、縦軸は4月を100とする指数。ピンクがトークンの利用量、青が支出額、灰色が平均トークン単価を示しています。9月には利用量が790.8、支出額が342.7まで増えた一方で平均トークン単価は43.3まで低下。AI Gatewayでは1トークン当たりの費用が下がっても、利用量の増加によって支出総額は増えています。

同じ9月の集計では、AI Gatewayが扱った全トークンの71.5%をオープンウェイトモデルが処理していました。しかし、これらのモデルへの支出は全体の23%にとどまっており、安価な代替モデルが大量の処理に使われていることを示しています。

値下げの理由には競争に加え、技術の進歩による提供コストの低下もあります。AnthropicはOpus 5.5の値下げについて、Opus 5より少ない計算資源で提供できるようになったことを理由に挙げました。

OpenAIもLunaなどの値下げに際し、モデルや推論システム、外部ツールとの連携を効率化した結果、同じ計算資源でより多くの作業を行えるようになったと説明しています。

ウルフ氏は、利用者を集めてから料金を大幅に引き上げる戦略をOpenAIやAnthropicが取るのは難しいと論じています。同程度の品質のモデルを複数の事業者が安く提供していれば、利用者は値上げを受け入れず、別のサービスへ乗り換えられるためです。

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