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Monday, October 26, 2026

【西田宗千佳のイマトミライ】MetaのパーソナルAI「Muse」日本上陸 iPhone Duoと相性抜群な次の”競争軸”

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MetaのMuseが日本展開を開始

Metaが同社のパーソナルAIサービス「Meta Muse」を日本でもスタートした。

筆者も早速使い始めているが、評判通り、非常に完成度の高いサービスだ。

Museについては、9月のアメリカでのスタート以降、何度か記事にしてきた。

また、AIの競争自体も、特にコンシューマ受けという切り口では、Museと同じ「常時動作型のパーソナルAIエージェント」が大きなテーマになってきた。

Museの日本展開とタイミングが同時になったのは偶然だと思うが、アップル初の折りたたみ型スマートフォン「iPhone Duo」も発売になっている。

筆者も購入した実機にMuseなどのAIエージェントアプリをインストールした。そして使いながら、「両者はとても相性がいい」と考えるようになっている。

今回は、Museを使いつつ「スマホや各種デバイスの中に自分のAIエージェントがいる時代」のことを考えてみたい。

iPhone Duoで、MuseとGrok Botを同時に動かしてみた

まず、Museがどんなサービスかおさらいしておこう。

Museは「常時動作型AIエージェント」と呼ばれるタイプのサービスだ。

メールやメッセージ、カレンダー、作成したファイルなど、「自分に関わる情報」をAIに読んで分析してもらったうえで、自分に必要なことを代わりにやってもらうサービス、と考えればいい。

Museの基本的な画面

例えば、次のミーティングに関する連絡がメールで送られてきたとしよう。

メールには内容や日時などが記録されている。Museは自分にそれを伝えたうえで、連携しているカレンダーサービスに予定を自動登録する。

さらに、最初の予定ではミーティングの場所が決まっておらず、後日決定と書かれていたとしよう。するとMuseは、後日実際に場所が決定したメールが来ると、自動的にカレンダーへと登録もしてくれる。

旅行をするとしよう。その場合には、旅行の移動計画や現地でのプランを立ててくれるのはもちろん、細かく事前にスケジュールも連絡してくる。

メールの代筆もできるし、セミナーなどの申し込みでウェブフォームへの書き込みが必要になった時でも、代わりにやってくれる。

ウェブフォームへの書き込みも代わりに行なってくれる

通販での買い物について、自動的に集計したうえで、確定申告に必要な適格請求書発行事業者の登録番号を探し、まとめておいてもらったりもできる。

もちろん、毎朝気になるニュースを探し、まとめてもらうことなど造作もない。

メールなどで送られてきた事項や、これまで作った文書の内容について、思い出せないことが出たとしよう。これまでだったら、メールアプリや文書フォルダを開き、ある程度自力で探すのが基本だった。

だが、この種のサービスを使うなら、AIに聞けばいい。自分の情報に関する「相談窓口」が一本化されるので、諸々楽になる。

実のところ、どの機能についても、1つ1つは従来からAIサービスを使えばできたことではある。また、「OpenClaw」のようなツールを自分のPCにインストールすれば、同じことをもっと自由度高くやってもらうこともできる。

しかし、この種の常時動作型AIサービスの場合には、メール等への接続を除けば、特別な設定はほとんど不要。専用のPCを用意して常時動かしておく必要もない。どんなAIモデルを使うのか、という選択もいらない。というより、気にする必要すらないのだ。

AIサービス事業者のクラウドの中で動いているので、スマホからも問題なく使える。スマホに通知が来て、それに応えていれば雑事の大半が終わる、というのは爽快だ。

MuseのようなAIエージェントからは、質問や実行終了時などに通知が届く

自発的でかわいくて「安い」Muse

前置きが長くなったが、これが、常時動作型AIエージェントの特徴である。

その中でもMuseの特徴は3つある。

1つは「自分から色々やってくれる『プロアクティブ性』が高い」ことだ。

特に細かな指示を与えなくても、メールや私の行動のフォローアップをしてくれる。予定変更に追従するだけでなく、荷物が「発送中」になったらそれを教えてくれたり、納期が遅くなったことを通知してくれたりと、かなりきめこまやかだ。

この種のサービスとして、筆者はSpaceXSIの「Grok Bot」とOpenAIの「dots」を使っている。dotsはGrok Botよりもプロアクティブだが「打てば響く」ような賢さが足りず、Grok Botは多少プロアクティブ性で劣るものの、複数のBotを従えてかなり賢く動作する、という印象がある。メインはGrok Botだった。

Museはそれに対して、「賢いしプロアクティブ」。Grok Botの持つ「素早く分業」というイメージとは異なるが、動作に対する印象は非常に良い。

どんなことをしているかもリストになっており、動作の透明性も高い。

どんなことをしているかはリストで表示される

2つ目は「かわいい」。

デフォルトのキャラクターである「Jolly」はかなりよくできていて、日本人にも馴染みやすい。

Museのキャラクターである「Jolly」

使えるのはJollyだけでない。むしろ、自分に合わせてカスタマイズすることが基本になっている。Museを使い始めてしばらく経つと、キャラクターカスタマイズを促すメッセージが出てくるほどだ。

そのカスタマイズ自体も、MuseでAIを使って行なえる。筆者は以下のようなキャラを作って自分用に設定した。

自分向けに設定した「Tendon」

このキャラが常に動き、画面上ではキーボードをタイプしたりする。日本人にはウケるだろう。

Museは9月頭にアメリカでサービスを開始したばかり。カナダに展開を広げてはいるが、日本でのサービス開始前は、アメリカとカナダ以外の国へは展開していなかった。

Metaの最高AI責任者であるアレクサンダー・ワン氏は、「TBS CROSS DIG with Bloomberg」とのインタビューの中で、日本を選んだことについて、「Museが広く受け入れられそうな国や地域を優先したいと考えた」と語っている。これは規制やサービス基盤の問題を指すものでもあるが、同時に、キャラクター大国である日本を強く意識したコメントでもあるのだろう。

Metaの最高AI責任者であるアレクサンダー・ワン氏。9月のMeta Connect 2026取材時に撮影

彼は自身のXアカウントでも、Jollyと日本のキャラクターを掛け合わせた動画を多数投稿、アナウンスメントのポストでも「アニメのミームに備えてくださいね」と書いている。アニメキャラクターを勝手に使うことの是非はあるが、彼が日本のアニメ好きであり、キャラ人気とセットでMuseの価値を考えているのもよくわかる。

Museの日本進出を伝えるワン氏のポスト

konnichiwa! we are launching muse in japan today! 🇯🇵 it is now available—download it from your favorite app store! (i hope you're ready for the anime memes 😇) https://t.co/PZCf3xb3RG

— Alexandr Wang (@alexandr_wang)October 23, 2026

以前の記事でも説明したが、Metaは年末にも「Muse Charm」というハードウェアの発売を計画している。自分のMuseを手の中に入るスマホと連携するハードウェアに入れ、それを持ち運べるようにしたものだ。

Muse Charmを発表する、Metaのマーク・ザッカーバーグCEO

Metaは「Muse Gadgets」というオープンソースプロジェクトも公開している。これは、Muse Charmと同じようなハードウェアを自分で作れるようにするもの。これもある意味、キャラ人気を加速するための施策だろう。

Metaは自作ガジェットでMuseを動かす「Muse Gadgets」も公開

🚨 MUSE ECOSYSTEM ALERT 🚨 today we are announcing Muse Gadgets! this is an open-source ESP32 firmware and Linux SDK for anyone to make hardware that works with Muse we are also releasing our own gadget—Muse Home Link—to enable your muse to work with your smart devices (TV, speakers, etc.)

— Alexandr Wang (@alexandr_wang)October 2, 2026

そして最後の1つが「安い」こと。

OpenAIのdotsは、現状、月額100ドル(16,800円)の「ChatGPT Pro 100」以上のプランに契約していないと使えない。無料体験も用意されていない。

Grok Botは7日間の無料体験があるものの、30ドル(約4,700円)の月額プランへの加入が必要になる。

それに対してMuseは、基本無料。週ごとの利用量制限はあるが、スマホアプリをダウンロードして登録するだけでほとんどの機能が使える。ウェブブラウザーのAI内での実行や買い物比較など、より高度な作業を行なう場合に、月額20ドル(約3,200円)の「Power」プランに加入、という形になっている。Metaは多くの利用者には「無料」でMuseを提供する考えでいる。

日本に入ってくる前から、Museはすでにアプリだけで1,000万ダウンロードを実現している。日本でも、10月25日深夜の段階では、iPhone向け無料アプリランキングでトップになっている。

10月25日深夜の段階では、日本でもApp Storeの無料アプリランキングで1位になった

無料で賢くてキャラ人気。この3つがセットになっているのが、Museの大きな強みである。

iPhone Duoなどの折りたたみと相性抜群

自分の手元で改めて使ってみると、MuseやGrok BotのようなAIエージェントは、折りたたみ型スマホと特に相性がいい。

要は、AIエージェントを片方の画面に、もう片方に関連する情報を出して話す、ということができるからだ。

左でMuseに質問し、右で関連情報を別アプリでチェック

PCでも同じことができるのだが、これをどこでも自然に、簡単にできるのはかなり便利だと感じる。

冒頭で示したように、2つのAIエージェントを同時に使うこともできる。それぞれの役割を分けて使うならこんな方法もあるが、まあ、ちょっとマニアックな使い方だとは思う。

スマホプラットフォーマーの「常時動作型AI」はいつ登場するのか

これに限らず、AI関連アプリは、広い画面のデバイスと相性がいい。スマホが標準で備えているAI機能や、ChatGPT・ClaudeなどのAIサービスを他のアプリと同時に見ながら使えるのは、折りたたみ型スマホの大きな魅力の1つになる。

一方で気になるのは、dots・Grok Bot・Museのようなサービスが続々登場している中で、「スマホプラットフォーマーのAI」が足踏みをしていることだ。

Apple IntelligenceにしろGemini Intelligenceにしろ、機能としては悪くない。特にiPhoneについて言えば、もうすぐ公開になる「iOS 27.2」を使うことで、Siri AIが日本語対応し、かなり使い勝手が上がる。「メールや行動履歴を把握し、その内容を質問する」ということなら、これらのAIにもできる。

もうすぐ公開になる「iOS 27.2」に搭載される日本語対応版「Siri AI」

自分の行動に関してAIに質問することは、Siri AIでも可能

しかし、スマホ搭載のAIはまだ「プロアクティブさ」に欠ける。自分でやってほしいことを考え、命令し、機能を使っていけば相当なことができるのだが、そのためには使う側に想像力と慣れが必要になる。以前からのチャットAIと同じだ。

だが、常時動作型AIエージェントになって、AIはどんどんプロアクティブな存在になっている。結果として、利用者は難しいことを気にせず、AIの価値をより活用できるようになってきたわけだ。

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