[ITmedia エグゼクティブ] 体験型展示で未来社会を考える 次世代へ向けた「TEPIA」先端技術館 現着しました!
社会課題とその解決に役立つ先端技術を体験を交えて紹介するTEPIA先端技術館=16日、東京都港区(鈴木美帆撮影)
日々の暮らしでの困りごとから地球規模での問題まで、さまざまな社会課題に対して、日々進歩する技術はどう役立つのか。先端技術を体験しながら社会課題の解決を考える施設が「TEPIA(テピア)先端技術館」(東京都港区)だ。体験型の展示を楽しみながら、自分たちの暮らしや未来の社会について改めて思いをはせる。
白菜素材の強度は4倍
次世代を担う子供たちに社会課題と先端技術を分かりやすく紹介する同館。「プロローグ」では、高齢化や自然災害、エネルギー問題、資源の乱獲など現代社会が抱えるさまざまな課題を示す。展示の導入では、技術開発やものづくりの最前線で活躍する高校生や大学生らの取り組みを紹介する「若者イノベーター」のコーナーが設けられている。
展示は大きく3つの柱に分けられている。「『人と自然』の共生を目指すテクノロジー」では、廃棄物や資源の活用をクイズも交えて考える。木材などの植物から生まれるセルロースナノファイバーを、自動車部品に使えば車体の軽量化につながるといい、その素材の軽さを体感できる。
海洋プラスチック問題への対応として、海中で分解されるバイオ素材のタコつぼ、廃棄されるホタテの貝殻から作ったヘルメットも展示。野菜の廃棄物やコーヒーかすなどから作られる素材もあり、白菜から作られる素材はコンクリートの約4倍の曲げ強度を持つという。将来的には建材への利用も期待できるといい、廃棄物が新たな価値を生む可能性を知る。
AIとの付き合い方
「『暮らし・経済・社会』の課題解決を目指すテクノロジー」では、既に社会で実用化されているものも含めて先端技術がどのように暮らしの困りごとを解決するのかを紹介。カメラが周囲の情報を認識し音声で伝える「ダイナグラス」では、カメラが信号を判断し、視覚に障害のある利用者に、音で伝えるシステムを展示している。
今年3月のリニューアルで新設された「『人とAI』の共創の可能性」では、各専門家が考える人工知能(AI)の定義や技術について紹介するほか、キャラクターを描くと4コマ漫画を生成してくれるツールなど、中高生が作ったプログラムも体験できる。一方で、常に正しい情報を提供するわけではないことや、著作権を侵害する恐れがあることなど、AIが引き起こす可能性のある社会的問題も提示。暮らしに浸透しているAIとの付き合い方を改めて考える仕掛けだ。
ワークショップエリアでは、直感的に操作ができるプログラミングを体験。2階の「クリエイティブラボ」では、3Dプリンターのモデリング操作やゲームを体験できる。
親が熱中することも
「見て体験した後でアウトプットすることで理解が深まる」と渡辺政嘉館長。社会課題先進国ともいわれる日本で、次世代を担う子供たちに「当事者意識のアンテナを立てる。将来自ら取り組むべき領域のヒントが沢山ある」。主体的にとらえやすいよう、展示には実用化や見込みがある技術を選ぶようにしている。
社会課題を解決する先端技術の展示を通じて「当事者意識のアンテナを立てる」と話す渡辺政嘉館長=TEPIA 先端技術館(東京都港区、鈴木美帆撮影)
「『考えさせる』という特色がある」と渡辺館長。自分の手を動かし、失敗しても工夫して成功した達成感は忘れないといい、体験型展示を通じて「『困ったな』ではなく、どうやったら解決できるだろうと考える習慣をつけてほしい」と願う。
展示室は科学館として広い方ではないが、多彩な技術が詰まっており、スタッフから詳しい説明も受けられる。プログラミングでは親の方が熱中することも。長期休暇に合わせた特別企画や幼稚園児から参加できる講座も開講している。
「見せるだけではなくて、どうやって考えてもらうか」。そのための「リアルな体験」で驚きや感動など、感情を揺さぶる仕掛けが盛りだくさん。「大人も新しい発見がある。ぜひ気軽に体験してほしい」
午前9時半から午後5時。原則月曜休館。無料、入場登録制。講座やイベントの詳細はホームページから。(鈴木美帆)
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