パーマー・ラッキー率いる防衛企業のAndurilとQualcommがアメリカ製の新型ノートPC「BlueChip」を発表
BlueChipの特徴は、アメリカ国内で製造できる部品を優先して採用し、製造工程も国内に移していくことです。AndurilとQualcommは、PCの製造拠点が海外に集中している現状について、国際紛争やサプライチェーンの混乱が発生した場合に必要なコンピューターを確保できなくなる危険性があると指摘しています。
BlueChipにはQualcommのArmベースのプロセッサ「Snapdragon X」シリーズが採用されます。Snapdragon Xは一般的なノートPCにも採用されているArmベースのプロセッサで、CPUによる通常の処理だけでなく、グラフィックス処理やデバイス上でのAI処理にも対応しています。Qualcommのクリスチアーノ・アモンCEOによると、BlueChip向けのプロセッサはTSMCのアリゾナ州にある工場で製造する計画だとのこと。
また、アメリカ国内の製造体制に合わせて本体の設計も見直している、とラッキー氏。具体的には国内で加工可能な金属を使用した筐体の設計や、アメリカ製のバッテリー技術に対応した電源管理システムの開発などを進めており、アメリカ製のディスプレイ用ガラスを組み込むための製造工程も開発中だそうです。
BllueChipはすでに動作する試作機が完成しており、試作機に使用される部品の調達費用のうち90%以上をアメリカまたは同盟国のサプライヤーから調達する部品が占めているとのこと。
製造については、オハイオ州にあるAndurilの製造施設「Arsenal-1」で回路基板の組み立てを行う予定。Andurilは筐体やバッテリー関連部品などの国内製造体制も整備しており、最終的にはディスプレイや金属部品、磁性部品などを含め、すべての部品をアメリカ国内で製造することを目標としています。
最初のBlueChipは軍や政府機関、警察、消防などの利用を想定しており、雨やほこりなどの厳しい環境に耐える頑丈な設計となります。OSにはWindowsのほか、政府機関などで利用される2種類のLinuxディストリビューションへの対応が予定されています。さらに、古い業務用ソフトウェアも動作させられるよう、互換性の確保を進めているとのこと。
セキュリティ面ではハードウェアとソフトウェアの構成を利用者が把握できることが重視されています。ラッキー氏はBlueChipを「監視に対抗するコンピューター」と表現しており、どのような部品やソフトウェアが組み込まれているのかを確認できるような透明性の高いサプライチェーンの構築を目指しており、製品公式サイトでも「信頼できる国内および同盟国のサプライヤーの活用とゼロトラストアーキテクチャの採用」がアピールされていました。
BlueChipの価格は発表されていませんが、ラッキー氏は「一般的な高性能PCより約20%高くなる」と見積もっています。また、頑丈な構造のため重量が増加しバッテリー駆動時間にも制約が生じることから、一般消費者にとっては必ずしも魅力的な製品ではないと認めています。
Andurilは2027年にBlueChipの注文受付を開始する計画で、現在は公式サイトで政府機関や防衛関連企業などからの問い合わせを受け付けています。将来的には一般消費者向けのノートPCも視野に入れていますが、当面は軍や政府機関など、セキュリティと調達先の信頼性が特に重要となる分野を優先する方針です。
ラッキー氏はBlueChipを単なる新しいノートPCではなく、アメリカ国内のコンピューター製造業を再建するための第一歩と位置付けています。最初の製品を通じて国内の部品メーカーや製造工程を整備し、その仕組みを将来のBlueChipシリーズにも活用する考えを示していますが、完全な国内製造を実現できる時期や必要な製造設備への投資規模などは明らかにしていません。
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